在宅勤務がしたい!上司・勤務先企業を説得するのに適した申請理由と説得のポイント

在宅勤務を実現するためには、上司や勤務先企業に対して、その必要性とメリットを明確に伝えることが重要。在宅勤務を希望する際の申請理由と、説得のポイントについて解説します。

コロナ禍をきっかけに多くの企業が取り入れた在宅勤務ですが、2024年現在は「アフターコロナで在宅勤務がなくなった」という声も多く見受けられます。出社回帰の流れが顕在化していると言えるでしょう。

一方で仕事内容によっては、出社回帰の流れがある中でも「在宅勤務の方が生産性が上がる」場合も依然としてあるでしょう。出社する必要のない業務の場合、通勤時間を節約できる在宅勤務は効率的なことも。

では出社回帰の流れの中で「在宅にしたい」場合はどうすればいいのでしょうか。
 
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この記事では、上司や勤務先に在宅勤務の必要性を説明し、説得するのに適した「在宅勤務の申請理由」を解説します。
実際に説得に成功した筆者の体験談もご紹介します。
 
 

在宅勤務がしたい!よくある勤務先企業への申請理由の例

勤務先企業へ在宅勤務申請をする際のよくある理由としては、その在宅勤務が単発・短期の場合は「集中したい」「体調不良」などが挙げられるでしょう。
また中長期にわたる場合は、介護、採用上の理由などが挙げられます。
 
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【単発・短期の在宅勤務の場合】生産性を高めたい、集中したい

「生産性を高めたい」というのは単発の在宅勤務を希望する理由のひとつになり得ます。
たとえば「新しいプロジェクトの企画と提案書を作成しなければならないけれど、オフィスでは他の社員からの質問や雑談が絶えず集中できないので、締め切りまでの数日間は静かな自宅で集中して作業したい」など、具体的な状況と在宅勤務のメリットを伝えると理解されやすいでしょう。
 
 

【単発・短期の在宅勤務の場合】一時的な体調不良(家族のケア含む)

自身や家族が体調不良の場合、たとえば「体調不良だが、締め切りが迫っているので完全に休むわけにはいかず、今日は自宅で無理のない範囲で業務したい」や「子どもの通院に付き添わなければならないので、その前後の時間は子どもの看病をしつつ在宅で勤務したい」など、体調のケアと仕事の両立を図るためにも在宅勤務は有効。仕事の時間を確保できることもしっかりアピールしましょう。
 
 

【単発・短期の在宅勤務の場合】取引先を訪問するなら自宅から向かう方が近い

たとえば取引先と自社オフィスの中間地点に自宅がある場合「自宅から直接取引先に向かえば、会社から向かう場合の半分の時間で済みます。その時間を使って資料を作成し、取引先へ持参します」など、移動時間の短縮だけでなく業務の効率化をアピールするのもよいでしょう。
 
 

【中長期の在宅勤務の場合】介護

中長期の在宅勤務の申請理由としては「介護」が多く聞かれます。たとえば「母が手術をして退院したばかりで、日常生活のサポートが必要なだけでなく、リハビリや通院の同行が必要。母のサポートを続けながら業務するために在宅勤務をしたい」など、家族のケアを優先しつつ、在宅なら業務の継続が可能であることを強調するとよいでしょう。
 
 

【中長期の在宅勤務の場合】採用上の理由

特に専門性の高い職種では、週5出社の正社員や派遣、アルバイトの採用が難しい場合もあります。こうした場合、在宅勤務可と打ち出した求人であれば応募数が増加し、良質な応募が得られる可能性も高まります。
そのため採用上の理由で「◎◎部門では在宅勤務を全面的に解禁し、採用上でも自社のアピールポイントにしたい。そのためにはまず部門のメンバー自身が実践する必要があるので、在宅勤務を中期的に実施したい」などと上司と交渉するのは一案です。
 
 

「在宅勤務がしたい」上司・勤務先企業を説得する際によく質問されること

在宅勤務を申請する際に、上司からよく質問されることとしては「期間」「理由」「チームメンバーの理解」などが挙げられます。
 

「その在宅勤務は単発か、中長期で継続的に行うものか」

企業側からは、まず在宅勤務が一時的なものなのか、それとも長期間にわたって継続される予定なのかを尋ねられるでしょう。体調などを理由とした在宅勤務ならば「単発」なので、近日中にオフィスにまた出社することとなります。
一方で中期的に、長く続ける在宅勤務ならばそれ相応の理由が必要です。先にご紹介した「採用上の理由」などが説得材料になり得ます。
 
 

「やむを得ない理由か」

やむを得ない理由というのは、たとえば「健康上の問題」「家族のケア」などが挙げられます。単に「家で仕事をしたいから」だけではなく、倫理的に考えて「一定期間の在宅勤務程度は許可した方が良いだろう」と考えられる理由付けが必要です。

もっとも「やむを得ない理由」での致し方ない在宅勤務があまりに長期化する場合は、その社員の側も転職を検討する必要が出てくるでしょう。
たとえば家族のケアを理由に在宅勤務をする場合は「◎◎の理由でやむを得ず2週間程度在宅勤務をさせてほしい」など、常識的な期間内での相談に留めることをおすすめします。
数か月以上在宅勤務の必要が生じ、なおかつ自社が完全に出社回帰しているのであれば、転職を検討すべきかもしれません。
 
 

「在宅勤務に対し、同じチームのメンバーの理解は得られているか」

在宅勤務者と出社する社員が同じチームにいると「コミュニケーションが減少して業務に悪影響が出るのではないか」「一人だけ在宅勤務が許可されているのはおかしい、と不満の声が出るのではないか」といった点が懸念されます。チームメンバーに事前相談し、在宅勤務による業務への影響を最小限に抑える方法を考えましょう。
また会社に相談する際は、他のメンバーからの理解を得ていることを伝えましょう。
 
 

「在宅勤務を取り入れることで生産性が落ちないか」

自宅での作業環境で、出勤時と同等またはそれ以上の生産性を維持できるかどうかを問われます。自宅での作業でどのように業務効率を高めるかという具体的な説明や、定期的な進捗報告や成果物の提出を約束しましょう。
 
 

その他、上司や勤務先企業が申請時によくチェックすることの例

上司の立場からすると、在宅勤務に許可を出す場合、相手の社員が「何を目的に、いつまで在宅勤務をするのか」「迅速な意思決定を行うことを目的に出社を求める場合、出社をしてもらうことは可能なのか」などは気になる点。
まず申請する側としては、出社が必要なタイミングでは出社をすべきであり、出社が必要なタイミングでも在宅でしか働けない場合は残念ながら退職も検討すべきでしょう。

そのうえで「在宅勤務を絶対にすべきである」という根拠が欠けた申請の場合は「この人は出社をめんどくさがっているだけでは無いか」とネガティブな印象を与えることに繋がり、結果として申請を棄却されるケースも多いでしょう。
在宅勤務が必要な根拠は明確にしたうえで、申請すべきです。たとえば前述の通り「在宅勤務を採用の強みにしたいので、部門としてまず実践したい」というのは根拠の一案です。
 
 

在宅勤務がしたい!上司・勤務先企業の説得の体験談【筆者の場合】

筆者は前職で、部門5名(うちアルバイト、業務委託が3名)を対象に在宅勤務を導入することに成功しました。なお当該部門はサービスのオウンドメディアのコンテンツ制作と更新、他のマーケティング部門との連携を担う部門でした。
在宅勤務の導入理由は「部門の大半がアルバイト、業務委託」かつ「オフィスがフリーアドレス制な上、社員数に対して明らかに手狭であったこと」。
正社員とは異なる時間に出社するスタッフが部門の性質上、多かったのですが、フリーアドレスかつそもそも手狭なオフィスのため、席が埋まっており、メンバーがオフィスでバラバラの席に座りがちでした。するとコミュニケーションも取りづらく、出社の意味が薄い状態になりつつありました。

そこでKPI管理を厳格化する前提の上、在宅勤務を導入することを上司に提案して承認を得ました。在宅勤務導入後は、出社がマストの日は週1日に限定。それ以外でオフィスに集まる場合も、営業のメンバーが外出し、オフィスが空いた午後を狙って出社する文化を作りました。

筆者の例では、そもそも無理に始業時間通りに出社をしても「オフィスが人数に対して狭く、座る席に困る」状態な上、在宅でもできる仕事だったため在宅勤務導入は総じて非常に好評でした。
採用強化をしている企業で「オフィスが手狭」、なおかつ部門のメンバーにフリーランスやアルバイトが多い場合は思い切って在宅勤務を導入してみるのも、筆者個人としてはおすすめです。
 
 

まとめ

在宅勤務を希望する際には、期間、やむを得ない理由、チームメンバーの理解、生産性の維持など、企業側が気にするポイントに対して具体的かつ合理的な理由を提示することが大切です。在宅勤務の導入が企業にとってもメリットがあると示すことができれば、承認を得られやすいでしょう。

以上、コクヨが運営するテレワークメディア「在宅百貨」がお届けしました!