2025年現在、商談の標準的な手法として定着しつつある「オンライン商談」。顧客と直接会うことなくWeb上で商談を行う、非対面式の営業方法のことです。
オンライン商談は、たとえばハイブリッド営業で用いられます。ハイブリッド営業はオンラインツールを取り入れた営業方法で、本来対面だったリード獲得や育成などをオンラインで行い、クロージングの段階で直接訪問を行うというもの。
リード獲得を担うオンラインの営業担当を「インサイドセールス」、クロージングで対面する担当を「フィールドセールス」と呼ぶこともあります。
もともと対面で行っていた営業の一部をオンラインで行うため、「オンライン商談」が非常に重要になってきます。
そこで今回は「オンライン商談」の進め方や、AIを活用した機能などを備えた厳選ツールを解説します。
オンライン商談とは?メリット・デメリット
改めてオンライン商談とは、インターネットを介して行われる商談形式のことを指します。従来の対面式商談とは異なり、時間と場所の制約が軽減された形でコミュニケーションを取ることができ、自社と顧客の双方にメリットがあります。
もう少し詳しく、オンライン商談のメリット・デメリットを見ていきましょう。
オンライン商談のメリット
オンライン商談には多くのメリットがあります。まず、時間と場所の制約が大幅に軽減されることで、効率的なスケジュール管理が可能になります。移動時間や交通費の削減にもつながり、コスト面でも大きな利点があります。また、地理的な制限がなくなることで、グローバルな商談も容易に行えるようになりました。さらに、デジタルツールを活用することで、資料の共有やプレゼンテーションがスムーズに行えるため、より効果的な情報伝達が可能です。
オンライン商談は、場所を問わずどこからでも参加可能で、コスト削減ができるといったメリットがあります。
オンライン商談のデメリット
一方で、オンライン商談にはデメリットも存在します。最も大きな課題は、対面でのコミュニケーションに比べて非言語情報が伝わりにくい点です。表情や身振り手振りといった微妙なニュアンスが伝わりづらく、信頼関係の構築に時間がかかる場合があります。また、技術的な問題として、インターネット接続の不安定さやデバイスのトラブルが商談の妨げになることもあります。
非言語情報が伝わりにくい、回線の接続状況によって中断する恐れがあるといったデメリットもあります。
また全ての顧客が「オンライン商談」に適性があったり、好意的であるとも限りません。長時間のオンライン商談の場合には、相手方が集中力を失ったり、疲れてしまう場合もあるので配慮も必要です。
しかし、事前に適したツールを選んでおくことで、これらのデメリットを解消できる場合もあります。
ハイブリッド営業の課題と解決法
先述したように、現在は対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型の商談も一般的になっています。しかし、ハイブリッド形式(一部対面、一部オンライン)の商談では、参加者間の情報格差が生じやすいという新たな課題があります。
たとえば社内の場合、インサイドセールス・フィールドセールス間の情報の受け渡しに難が生じることは少なくありません。営業進捗を一元管理できる社内での工夫は必要でしょう。
社外との商談でも、オンライン商談に慣れているメンバーが中心的に発言し「すべての参加者が対等に発言できる」環境とはほど遠い商談になることも。この問題に対しては、オンライン参加者への積極的な声がけや、専用のファシリテーターを設置するなどの工夫が効果的。
また、すべての参加者が対等に発言できる環境を整えるため、チャット機能の活用や定期的な発言機会の確保など、きめ細かな配慮が必要です。
オンライン商談の事前準備
効果的なオンライン商談を行うためには、入念な事前準備が不可欠です。事前に準備すべき点を解説します。
カメラ・音声の確認方法と注意点
オンライン商談では、カメラやマイクなどの機器が正常に動作しているか事前にチェックすることが重要。
背景や照明などが顧客に不快感を与えないよう、できるだけ自然光で撮影し、難しければリングライトなどの導入を検討しましょう。音声については、スピーカーの音量やマイクの感度を調整して、自分の声が聞こえているかテストしておきます。できれば社内の他の担当者を相手に、事前にテスト通話してみるとよりベターです。
ノイズキャンセリングの活用
AIを活用した高度なノイズキャンセリング技術を搭載しているオンライン会議ツールもあります。これを活用することで、周囲の雑音を効果的に除去し、クリアな音声のみを相手に届けることができます。特に、複数の話者が同時に発言する場合でも、各話者の音声を個別に抽出し、明瞭な音声を維持することが可能です。事前にAIノイズキャンセリングの設定を最適化し、テストを行っておくことで、スムーズな商談進行を実現できます。
バーチャル背景の選び方
バーチャル背景を使うと、リモートワーク中の商談でもプライバシーを保護することができます。一方、バーチャル背景は単なる見栄えの問題ではありません。適切な背景選択は、商談の雰囲気づくりや企業ブランディングにも直結します。背景は必要以上に装飾的なものを避け、企業カラーを取り入れたシンプルなデザインが推奨されます。また、自社のロゴやキーメッセージを控えめに配置することで、ブランド認知向上にも効果的です。
オンライン商談に必要なツールと選び方
オンライン商談に必要なツールとは、動画でのコミュニケーションと資料の共有ができるビデオ会議ツールが基本となります。ツールを選ぶ際には、画像や音声の品質、操作の分かりやすさ、料金プランや課金形態などを確認しましょう 。
また、ツールによっては、商談の録画や分析、チャットやアンケートなどの機能も備えているものがあります。
オンライン商談の進め方/流れ
オンライン商談では、対面での商談と同じく、「信頼関係の構築(ラポール)」→「ヒアリング」→「プレゼン」→「クロージング」というステップを踏むことが一般的です。
オンライン商談では、相手の表情や反応がわかりにくいため、コミュニケーションに工夫が必要です。たとえば、自己紹介やアイスブレイクでは、相手に興味を持ってもらえるような話題を用意したり、カメラをオンにして笑顔で挨拶したりすることが効果的です。
一番伝えたいことを考える方法とポイント
オンライン商談では、相手にどのような行動を起こしてもらいたいかを明確にし、伝えるようにしましょう。
たとえば、「契約を締結する」「次の商談を設定する」「資料を送付する」など。一番伝えたいことを一言で言えるようにし、商談の冒頭と終わりに繰り返し伝えることで、相手の記憶に残りやすくなります。
また、オンライン商談では、相手にどのような感情を与えたいかも考えましょう。例えば、「安心感」「信頼感」「期待感」など。一番伝えたいことをストーリーにし、商談の中で具体的な事例や実績を紹介することで、相手の感情に訴えかけることができます。
商談中のエンゲージメント維持
オンライン商談で、相手方に集中力を維持してもらうには工夫も必要です。15分を目安にインタラクティブな要素を織り交ぜたりすることで、参加者の注意力を持続させることができます。
たとえば15分程度を目安に質問タイムを設定したり、チャット機能を活用した意見収集をすることなどもエンゲージメント向上に効果的です。
また画面共有時には、ポインターやハイライト機能を活用し、注目ポイントを明確にすることも重要です。
温度感の確認の方法と例文
非対面のため、相手が商談に対して乗り気がどうか「温度感」を確認するのが難しいと感じることもあるでしょう。
商談相手の温度感を確認する方法として有効なのは、オープンエンドの質問をすることです。オープンエンドの質問とは、「はい」「いいえ」で答えさせる質問ではなく、相手に自由に回答してもらうことができる質問のことです。
例として、以下の質問方法が挙げられます。
・「この商品についてどう思われますか?」
・「この商品を使ってみたいと思われますか?」
・「この商品を購入する際に、どのようなことを検討されますか?」
これらオープンエンドの質問によって、相手の温度感を把握することができます。
オンライン商談のフォロー
商談後のフォローも重要です。フォローとは、相手に感謝のメールを送ったり、資料や見積もりを送付したり、次の商談の日程を調整したりすること。フォローのポイントは、商談の内容を要約し、一番伝えたいことを再度伝えることです。
例文は以下の通りです。
「本日はお時間をいただきありがとうございました。商談の中でお伝えした通り、私たちの商品はあなたの課題を解決する最適なソリューションです。添付ファイルに資料と見積もりをお送りしますので、ご確認ください。次回の商談は来週の火曜日にお電話で行いたいと思います。よろしくお願いします。」
オンライン商談ツールの選び方
オンライン商談ツールを選ぶ際には、商談の準備から実施、フォローアップまで、全てのプロセスをスムーズに行うことができる機能性があるか否かを検討すると良いでしょう。
特に近年はAI機能を搭載したオンライン商談ツールが登場しており、各プロセスの効率化も進んでいます。
商談準備での活用方法
デジタル名刺の発行やトークスクリプトの管理など、オンライン商談ツールは商談準備の段階でも活用できます。
また過去の商談を対象に、オンライン商談ツール上のAI分析機能を使用することで、過去の商談データから成功パターンを抽出し、プレゼンテーション資料の最適化や、想定質問への回答準備を効率的に行うことができます。また、AIによる市場分析や競合情報の収集も、商談の質を高めるでしょう。
リアルタイムサポート機能
最新のオンライン商談ツールの中には、商談中のリアルタイムサポートができるものもあります。例えば音声認識による自動議事録作成、リアルタイムの翻訳支援、感情分析による相手の反応把握など。これらの機能を適切に活用することで、商談担当者は本質的なコミュニケーションに集中することができます。
フォローアップの効率化
資料の共有や電子サインの送付など、商談後のフォローアップもオンライン商談ツールの機能に含まれることが多いです。
例えば商談内容の自動要約や自動リマインド、カスタマイズされたフォローメールの生成など、AIを用いた効率化を提供しているサービスもあります。
オンライン商談におすすめのツール
先にご紹介したいくつかのポイントを踏まえたうえで、オンライン商談におすすめのツール4選をご紹介します。
ベルフェイス
ベルフェイスは、電話を使ったオンライン商談システムです。銀行や証券などの金融業界で多く利用されており、ネットが苦手な人でも使いやすいサービスになっています。株式会社ベルフェイスが運営しています。
ベルフェイスは銀行・証券リテールシェアNo.1のオンライン商談システムで、契約や個人情報などを扱う商談でも安心して使えるセキュリティレベルを誇ります。デジタル名刺、資料共有、録音録画などオンライン商談に必要な機能が充実。アプリのダウンロードが必要なく、電話接続なので音声が途切れない点も魅力です。
引用元:
ベルフェイス公式サイト
また、ベルフェイスには「bellSalesAI」という機能があり、CRM入力作業の効率化や案件管理の効率化なども可能です。
接続方式:URL接続・ナンバー接続(4桁の番号)
主な商談サポート機能:名刺交換、トークスクリプト、画面共有、マーカー、資料共有・送信、メモ、チャット、録画
料金:要問い合わせ
B-Room
B-Room(ブルーム)とは、Webブラウザを利用したオンライン商談システムで、訪問商談以上の成果が上げられるとして大手企業に数多く導入されています。つくばに本社を持つ株式会社Bloom Actが運営しています。
B-Roomは最高レベルのビデオコーデックを採用し、高画質で相手の表情や声がクリアに伝わるオンライン商談ツールです。複数同時接続や音声自動テキスト化機能も搭載。オンライン商談を「申し込まれた側」の顧客向けコンシェルジュサービスも行っています。
引用元:
B-Room公式サイト
また、商談中の会話はAIが瞬時にテキスト化してくれるため、メモを取る必要はなし。会話に集中できるため、商談相手からの印象も上がるでしょう。
接続方式:URL接続・ナンバー接続(8桁の番号)
主な商談サポート機能:名刺交換、トークスクリプト、画面共有、マーカー、資料共有・送信、メモ、チャット、録画
料金:1ルーム 月額35,000円~/1ルーム同時に最大4人利用可、ルーム利用数が多くなるほど割引あり
MiiTel for Zoom
MiiTel for ZoomはZoomでのオンライン打ち合わせに導入できるAIツールです。ビジネスで多くの人が使い慣れているZoomを利用するので、新しいオンライン会議ツールを商談相手に紹介しなくても導入できる点がおすすめ。
商談内容をAIが議事録に起こしてくれ、その中のトピックを検索したり、気になる箇所をタグ付けすることができます。
引用元:
MiiTel for Zoom公式サイト
接続方式:Zoom
主な商談サポート機能:議事録生成機能、オンライン商談分析共有、商談内容保存・記録機能、音声解析機能、トピック検索機能、コメント共有機能、タグ付け機能など
料金:月間40時間まで:2,760円~(月額)
月間70時間まで:3,660円~(月額)
econy
econy(イーコニー)は野村総合研究所のオンライン商談ツール。オンライン商談から電子契約までをひとつのツール上で行えます。
生成AIを活用した機能として、商談時の不適切な発言を検出する機能や業務プロセスの抜け漏れを防止する機能が実装されています。
引用元:
econy公式サイト
接続方式:Zoom
主な商談サポート機能:オンライン商談、電子サイン、本人確認、クラウドサービスなど
料金:要問い合わせ
各ツールの特徴と比較ポイント
今回ご紹介したオンライン商談ツールを比較してまとめました。
オンライン商談ツールの比較表。どのツールも基本的には画面共有や録画・録音機能といった基本機能は備えています。
どのツールを利用するか迷った場合は、ベルフェイスがおすすめです。上記表の機能に加えてSalesforceとの連携がしやすいのは大きな魅力です。
オンライン商談のやり方/コツやツール選びなどについてよくある質問
オンライン商談のやり方やコツ、ツール選びなどについてよくある質問をまとめました。
身だしなみの基本とコツは?
身だしなみの基本は、清潔感とビジネスライクな服装。コツは、カメラに映る部分に注目することです。たとえば、髪型やメイクは整え、背景はシンプルにし、服装は明るい色を選ぶと顔写りが良くなります。
話し方のコツと注意点は?
話し方のコツは、スピーカーを通しても聞きやすいよう明瞭に話すことと、相手の反応にペースを合わせること。対面の場合より少しゆっくり話す方が、相手も聞き取りやすくペースも合いやすいでしょう。
注意点は、話し過ぎないことと、話し方に変化をつけること。たとえば、話す内容に合わせて声のトーンや強弱を変えたり、相手に質問を投げかけたりすると良いでしょう。
アイスブレイクの方法は?
以下を意識しましょう。
・相手の名前や会社名、商談のきっかけなどを褒めること
・相手に関心のある話題を選ぶこと
・相手にオープンエンドの質問をすること
・相手の話を聞いて共感すること
・相手に笑顔やうなずきなどのボディランゲージを見せること
無料ツールのおすすめは?
商談そのものはSkypeやDiscordでも可能。ただし、オンライン名刺交換などの機能はないので、初対面の顧客と利用するには物足りません。既存顧客に対するアップセル、クロスセルなど「面識がある前提」で無料ツールを使うのはいいでしょう。
まとめ
オンライン商談は2025年のビジネスシーンにおける必須スキルとなっています。成功のカギは、入念な事前準備とテクノロジーの効果的な活用にあります。特に重要なのは、適切な環境設定、セキュリティ対策、そして参加者とのエンゲージメント維持です。また、AIツールを活用することで、準備から実施、フォローアップまでの各段階で効率化と品質向上を図ることができます。ツール選定と運用ルールを適切に設定し、定期的な見直しと改善を行うことで、より効果的なオンライン商談の実現が可能となります。