「コーチング」とは「相手の気付きを引き出す」方法!仕事/業務の目標達成に有効です

「コーチング」は、人材育成の場面で活用されるコミュニケーション手法。対象者の自発性を刺激することで成長を促し、自身の気づきやポテンシャルを発揮できる状態に導くのがその大きな目的です。この記事ではコーチングについて、弊社「コクヨ」の社内外の事例なども交えて詳しく解説します。

コーチングは「相手の気付きを引き出す」手段

 
コーチングは、対象者との対話や質問などを繰り返し、相手が行動するきっかけや、目標達成のヒントを与えるトレーニングで、マネジメントの一種です。
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コーチングは「相手の気付きを引き出す」ための手段で、目標達成のための方法や答えなどを直接教えるのではなく、あくまで相手に気づいてもらうのを目的とします。相手自身から答えを引き出すことで、問題解決能力はもちろん、自主性やモチベーションの向上が期待できます。

コーチングの由来と歴史

ビジネスシーンで使用されている「コーチング」というワードは、1950年代に当時ハーバード大学助教授であったマイルズ・ メイスが「マネジメントにはコーチングが重要なスキルである」と提唱したことを発端としています。日本では1990年代後半に企業組織に導入され始め、20年近く経過。手法も大きく発展し、2022年現在では多くの企業が一般的に取り入れています。
 
 

コーチングとティーチングの違い

 
ちなみにコーチングによく似たマネジメント法に「ティーチング」と「カウンセリング」があります。 ティーチングはその言葉が示す通り、経験豊富な人が対象者に知識やノウハウを教えること。 コーチングは答えを与えずに対話を繰り返すことで対象者の気づきを引き出しますが、ティーチングは対話はせず、気づきではなく答えを与え、対象者に指導をしていきます。
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コーチングとティーチング、カウンセリングの違い。ティーチングがもっとも一方通行的な手法で、コーチングとカウンセリングは双方向性が高いです。

コーチングとカウンセリングの違い

カウンセリングもコーチングと同じように、対話を行います。
しかし、コーチングが対話によって対象者の気づきを引き出し、成長を促すのと異なり、カウンセリングでは問題解決のための対話になります。
この場合、対象者は悩みや不安などを抱えており、カウンセリングではそれを解消してあげることが目的となります。
 
 

コーチングが役立つ仕事/業務のシーンとは

コーチングはOJT(On the Job Training)や、新入社員や中途採用者の育成といった場面で役立ちます。

期待されるメリットとしては
 ・新人とトレーナーの距離が近く、仕事に対する不安なども気軽に相談できる
 ・トレーナーが新人と他の社員とのハブとなり、職場になじみやすくなる
 ・マンツーマン指導で、実務に即した教育を行うことにより、効率的に即戦力やスキルがつく
などがあげられます。
コクヨ働き方用語辞典より


なおコーチングを自然に社内に浸透させるためには、上司と部下間のコミュニケーションが発生しやすい環境づくりも大切です。
オフィスの空間提案を行うコクヨマーケティングではピー・シー・エー株式会社様や株式会社公文教育研究会様のオフィスを手がけており、フリーアドレスや遮音性に配慮したブースを配置するといった工夫を行うことでOJTなどをやりやすい環境を作っています。
 
 
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ピー・シー・エー株式会社様の執務スペース。執務スペースはフリーアドレスを導入して、業務の内容やモードに合わせて働く場所を選択できます。また、遮音性に配慮したソロブースを設置しています。

 
詳しくは以下の記事でもご紹介しています。
 
 

仕事/業務におけるコーチやトレーナーの役割

新入社員や中途採用者に対するコーチやトレーナーの役割は、コーチングを通じてその能力を引き出してあげることです。そのため対象者と対話を繰り返し、質問を重ねます。
安易に答えを言ったり対象者を無暗に批判するのではなく、対象者が持っているのにまだ出せていない能力があることを信じ、そのスキルを引き出してあげましょう。
 
 

コーチングに必要な3つの基本スキル

コーチやトレーナーがコーチングをする上で必要な以下の3つのスキルをご紹介します。
・傾聴
・承認
・質問
 
 

傾聴

コーチングをする上で、対象者の話に耳を傾けることはとても大事なスキルです。ただし、ただ聞くのではなく、相手が正解に近づいているか、その口調や表現から判断しましょう。
 
 

承認

コーチングでは無暗に相手を非難したり否定するのではなく、承認、肯定してあげることが大切です。自己肯定感が高まると、自然と仕事へのやる気も出ます。コーチングでもこまめに「よくそこに気が付いたね」など肯定的に声を掛けてあげるといいでしょう。
 
 

質問

簡単なようで難しいのが「質問」です。コーチングでは、質問の答えはすでに対象者の中にあると考えます。しかし、コーチ、トレーナー側はその答えを直接言ってはなりません。あくまで対象者の考えを整理させ、その答えを質問を通じて引き出しましょう。
 
 

【実践編】コーチングテーマの設定方法~コーチングのやり方

コーチングは実は「締め切りの迫った仕事」や「クレーム処理」など緊急性が高いトピックスには向きません。物事の優先順位を見極める「時間管理のマトリックス」で言うと、コーチングは第二領域、「重要度は高いけど緊急度は低い」領域に当たります。
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時間管理のマトリックス

よってコーチングのテーマは対象者の将来に向けた備えになるようなことや、自分磨きのきっかけとなるようなテーマを設定しましょう。コーチングテーマの具体例は下記のようなものです。

・今後会社でやりたいこと
・モチベーションの保ち方
・円滑な人間関係
・日々の仕事の楽しみ方

また、コーチングを進めるには、以下の4つのステップを踏むのがいいでしょう。
①現状確認
②ゴールの具現化
③成果までの障害の具現化
④ゴールまでの行動計画の作成
 
 

コクヨ社内のコーチング、人材育成の事例

 
コクヨでもコーチングや人材育成への取り組みは、年々進んでいます。 2018年には「キャリアセンター」を設置。社員一人一人との対話を通じて本人の意思を把握し、能力やキャリア等の人材データを活用した適所適材の配置登用につなげていくことで、新たなチャレンジを後押ししています。
 
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コクヨ社内の人材育成/能力開発に関する取り組み。人材会議や等級変更会議を定期的に行っているほか、「何のために、何をするのか」上司部下の対話機会を創出。キャリア面談も行っています。

特にコーチングの要素が強い取り組みは「キャリアチャレンジ」。キャリアチャレンジでは社員一人一人が中長期的にコクヨでチャレンジしたい仕事や伸ばしたい能力を意思表明。専門アドバイザーによる個別キャリア面談を通じて、社員がキャリアや能力を伸ばす方向性を具体化していくことを支援しています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。
 
 

まとめ

コーチングを行うことで、新入社員や中途採用者を育成することができるのはもちろん、社員同士のコミュニケーションにも繋がります。定期的に正しいコーチングを行い、対象者の気づきを引き出しましょう。
なお、コーチングを特にオフィスで行う場合には「気軽に話せる環境づくり」も重要。普段はテレワークで、たまにオフィスで上司・部下でコミュニケーションするという場合にはなおさら対話の環境改善が必要です。
 
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パーテーションをうまく使うとオフィスの中に独立した空間を作りやすく、コーチングにも便利なスポットとなります

パーテーション等を活用して、オフィスの環境づくりにも取り組みましょう。