「ご確認いただけますと幸いです」は目上の人に失礼な敬語?意味・正しい使い方

相手に依頼をするとき、語尾に「○○していただけると幸いです」を付けると、より柔らかな印象になります。典型的な言い回しが「ご確認いただけますと幸いです」ですが、このフレーズは実は不十分な敬語です。本記事では適切な言い回し・使い方を確認します。

相手に依頼をするとき、「~してください」「お願いします」という表現を多用すると、押し付けがましい印象を与えてしまいます。語尾に「○○していただけると幸いです」を付けると、より柔らかな印象になります。
 
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典型的な言い回しが「ご確認いただけますと幸いです」。たとえば、テレワークで作成した資料の確認を上司に依頼するとき、「オンライン商談の資料を作成しましたので、ご確認いただけますと幸いです」と送る人も多いのではないでしょうか

しかしこの「幸いです」というフレーズは、敬語としては「曖昧」で「不十分」なものなの。本記事で「ご確認いただけますと幸いです」の適切な言い回し・使い方を改めて確認しましょう。
 
 

「ご確認いただけますと幸いです」は敬語表現としては曖昧 | 謙譲語がふさわしい

「ご確認いただけますと幸いです」には、2つの意味で問題があります。まず、このフレーズには「できれば○○してほしい」というニュアンスがあり、「必ず実行してもらいたい」ときには不向きな表現。さらに、「幸いです」は単なる丁寧語表現なので、相手に対する敬意を示すという点でも適切ではありません。
 
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失礼のない表現にするためには、「幸いです」を「幸いに存じます」と謙譲語にして、自分の立場を下げることが大切です。さらに、「必ず実行してほしい」場合は「○月×日までにご確認いただけますと幸いに存じます」と、期限を区切るといいでしょう

「幸いです」の謙譲表現 | 「幸いに存じます」

「幸いです」の謙譲表現は「幸いに存じます」です。「存じます」は「思います」の謙譲語なので、目上の人に対して使うときに最適な表現になります。幸いに存じますの例文を3例ご紹介します。

・送付した資料をご確認いただけますと幸いに存じます
・ぜひ展示会にご出席いただけますと幸いに存じます
・こちらの件についてご検討いただけますと幸いに存じます

ちなみに「幸甚(こうじん)です」は「幸いです」のさらに丁寧な表現で、たとえば「送付した資料をご確認いただけますと幸甚に存じます」のように使います。
「幸甚です」と「謙譲表現」を組み合わせると、ワンランク上の丁寧な言い回しとなるので、ご活用ください。
 
 

「ご確認いただけますと幸いです」とセットで使うと便利なクッション言葉

「ご確認いただけますと幸いです」は、以下のような「クッション言葉」とセットで使うと、さまざまな場面に適した表現ができます。
 
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クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり断ったりする場合に添えて、スムーズに意思を伝えるための表現。この4つのクッション言葉はどれを使っても構いませんが、筆者の場合は「ご多忙のなか恐縮ですが」をよく使います

【実践編】謙譲語/クッション言葉を使った「ご確認いただけますと幸いです」例文

「ご確認いただけますと幸いです」の謙譲語・クッション言葉を使ったメール例文を、以下2つのシチュエーションに分けてご紹介します。

・送付した資料の確認を依頼するとき
・返信を催促するとき
 
 

送付した資料の確認を依頼するメール例文

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重要なポイントは色分けした部分です。相手に確認を依頼したいとき、まずクッション言葉を置いて相手への配慮の気持ちを伝えます。ただし「幸い」は曖昧な表現なので、直後に期限を区切って「してほしい」という意思を表現します。最後に謙譲語表現を置いて、全体を丁寧に締めくくります

返信を催促するメール例文

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基本的には先ほどの例文と同様です。相手に何かを催促するときは、失礼にならないように「どう書けばいいか」悩みますよね。上記のように、クッション言葉・期限の区切り・謙譲語表現をコンパクトに組み合わせれば、相手に失礼がなく・かつ確実にこちらの意思が伝わる理想的なメールが書けます

まとめ

「ご確認いただけますと幸いです」は、大きな問題があるフレーズというわけではありません。しかし、「相手に確実な対応を依頼する」ものではない曖昧な表現なので、相手の対応が遅れてしまうリスクも。
そのため、今回ご紹介した謙譲語表現やクッション言葉を組み合わせて、自分の意思を丁寧かつ確実に伝えることが大切です。こちらの記事【ビジネスメールで良い印象を残す「締めの言葉」文例16選】では、相手にいい印象を残せる締めの言葉をご紹介しています。在宅ワークの時代だからこそ、必要な情報を誤解なくスムーズに伝えつつ、好印象な言葉で気持ちのいい仕事をしてもらいましょう。