【完全ガイド】テレワークでの社員のサボりはどう見抜く?サボりの実態や生産性の高め方

テレワークは新型コロナウイルスの影響で急速に普及しましたが、管理者としては社員の働きぶりが見えにくくなり、サボりが発生していないか不安になることもあるでしょう。では、テレワークでのサボりはどうやって見抜くことができるのでしょうか?この記事では、テレワークでのサボりの実態や原因、見抜く方法、防止する方法、生産性を高める方法などを詳しく解説します。

アフターコロナにおいて、多くの企業の課題となっているのが「テレワークを継続するか否か」。2020年以降、多くの企業でテレワークは一般的な働き方として定着。社員の通勤時間を削減でき、出社の必要も無くなることから多様な人材を採用可能。またオフィスの賃料などのコスト削減にも繋がります。

一方でテレワークの「生産性」には疑問の声が無いわけではありません。たとえばイーロン・マスク氏が買収した旧Twitter社(現:X社)は、テレワークを全面的に禁止する企業として有名です。 テレワークの生産性は果たして高いのでしょうか。またテレワークを許可すると、社員は「サボる」ものなのでしょうか。テレワークでの社員のサボりの見抜き方と、生産性の高め方について解説します。
 
 

テレワークで仕事の生産性は下がる?

テレワークでは、通勤時間の削減や自分のペースで働けるなどのメリットがあります。
一方でコミュニケーション不足や作業環境の悪化などのデメリットもあります。たとえばSlackをはじめとするテキストベースでのチャットのやり取りは、深い議論には必ずしも向かず、チャットの参加者間で認識の齟齬が生まれてしまうケースもあります。またそもそもチャットを送ったとしても、相手が仕事をサボっていたら、返信は来ないものです。
これらの要因によって、テレワークでは仕事の生産性が下がる可能性があります。
 
 

日本・アメリカの主要企業のテレワークの実施状況

国内外の企業でも、アフターコロナでのテレワークの継続については方針が様々に割れています。
トヨタは週1回2時間の在社を義務化したうえで、在宅勤務を実施。ソニーも在宅勤務を推進しており、例えば半導体事業ではフルリモートワークを前提とした採用を実施中。3万人規模の大規模な実施に踏み切っているのはNTT。テレワークの継続を前提に、群馬と京都への本社機能分散も進めています。 そして、コクヨは、22年1月から「コクヨ式ハイブリッドワーク」をはじめました。こちらは、社員が「在宅中心型」、「バランス型」、「オフィス中心型」の3つから四半期ごとに自分の働き方を選択できるというものです。
アメリカではオフィス勤務への回帰の動きも見られます。Google社は週3日の出社と週2日のテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを導入。Meta社は既存の現場社員に対してはリモートワークを認めているとみられるものの、リモートワーク可の新規採用は停止。特に幹部職に対してはオフィス勤務を促しています。そして記事の冒頭でも触れた通り、イーロン・マスク氏率いるX(旧・Twitter)は社員のテレワークを全面的に禁止しています。
 
働き方の多様性を担保しつつも、テレワークによる認識の齟齬や「社員のサボり問題」にどう対処していくかは企業の大きな課題と言えるでしょう。筆者の個人的な見解としては、コクヨやトヨタ、Googleが実施するハイブリッドワークはバランスが取れた施策であると感じます。
 
 

テレワーク中のサボりはどうやって見抜く?7つの方法

ここまでに述べたテレワークの課題の中でも、管理職、マネジメント層の方にとって頭が痛い問題は「テレワーク中の社員のサボり問題」ではないでしょうか。テレワークを実施している社員が、アウトプットを提出していなかったり、KPIに対して十分な貢献をしていない場合「サボっているのではないか」と疑いを持ってしまうのは致し方ない部分もあるでしょう。
 
 (13479)

テレワーク中のサボりを見抜いたり、社員の動きを管理するにはおよそ7通りの方法があります。

1.パソコンの操作ログ

パソコンの操作ログは、テレワーク中に社員がどんな作業をしていたかを確認する方法の一つです。操作ログには、起動時間や終了時間、使用したアプリケーションやファイル、キーボードやマウスの操作回数などが記録されています。これらの情報をもとに、社員が実際に作業していた時間や内容を把握することができます。
もっとも操作ログの取得ツールは、マネージャーにとっては便利な反面、現場のメンバーには「監視されている」感覚を強く与えてしまうデメリットもあるため導入に当たっては慎重な判断も欠かさないようにしましょう。
 
 

2.社用端末の位置情報

社用端末の位置情報は、テレワーク中に社員がどこにいたか確認する方法の一つです。具体的には端末のGPSなどを利用して端末の位置を特定することが可能。社員が自宅やオフィス以外の場所にいた場合や、移動していた場合などを検知することができます。
 
 

3.勤怠管理システムの監視機能

勤怠管理システムは、テレワーク中に社員が出勤・退勤した時間や休憩時間などを管理するシステムです。社員が設定した勤務時間内にパソコンから離れている時間や頻度などを記録し、サボりや遅刻・早退などを検知することができます。具体的にはPCの利用開始・終了時間とPCログ、そして申告された勤怠時間を照合することなどで実際のテレワークでの働き方や実績などを検証します。
 
 

4.ウェブ閲覧ログ

ウェブ閲覧ログを通じて、テレワーク中に社員がインターネットでどんなサイトを見ていたかを確認することも可能。ウェブ閲覧ログからはアクセスしたサイトのURLやタイトル、閲覧した時間や期間などを辿ることが可能。社員が仕事関係以外のサイトを見ていた場合や、長時間見ていた場合などに社員に注意を与えることができるようになります。
 
 

5.社内システムの各種ログ

社内システムの各種ログは、テレワーク中に社員がどんな業務を行っていたかを確認する方法の一つです。社内システムの各種ログには、社内メールやチャット、ファイル共有やドキュメント作成など各種ツールの利用状況が保管されています。これらのログと成果物を照らし合わせると社員自身が申告した勤務状況と実際の働きが一致しているのか、ある程度正確に判断できるでしょう。
 
 

6.メールの送信ログ

メールの送信ログは、テレワーク中に社員がどんなメールを送っていたかを確認する方法の一つです。社員が業務に関係するメールを送っていたかどうかや、メールの内容や頻度に問題がないかどうかをチェックすることができます。
 
 

7.仕事の進捗状況

仕事の進捗状況は、目標や期限、担当者や優先度などを設定して管理するタスク管理ツールやプロジェクト管理ツールによってクラウド上で管理できます。
代表的な管理ツールには「Trello(トレロ)」と「Backlog(バックログ)」があります。
 
 (13510)

Trello(トレロ)はタスクをカード(かんばん方式)で、メンバー同士で管理したり共同編集することが可能なツール。「未着手」「着手中」「完了」などのステータスを作り、カードを進捗ごとに移動することで管理できます。Backlog(バックログ)はプロジェクトの「課題」を作成し、登録した課題ごとにメンバー同士でやり取りをしたり、進捗管理や締め切り設定が可能なツール。締め切りのみを設定してあとは「その課題に関する掲示板」のように使うことも可能ですし、ガントチャートを出力して細かく進捗管理をすることもできます。

これらのツールを使って、社員が予定通りに仕事を進めているかどうかや、遅れている場合はその理由や対策は何かなどを確認することができます。
 
 

テレワークの生産性を高めるためのマネージャーの役割

徹底的に厳しく「社員のテレワークでの労働状況」を管理するのであれば、PCの操作ログを取得するのが一番効果的でしょう。しかし、前述の通り、そうしたマネジメントはメンバーに強いストレスを与えます。
テレワークの社員がより生産性を高めていくにはマネージャーの役割や動き方、また社内ルールの見直しも大切です。
 
 

1.コミュニケーションの見直し

社員とのコミュニケーションの見直しは、テレワークでサボらず生産性を高めるためにマネージャーが行うべきことの一つです。コミュニケーションの見直しには、以下のようなことが含まれます。

・定期的に連絡やフィードバックを行う
・あえて適度な距離感や信頼関係を築くことで、仕事へのモチベーションやコミットメントを高める。
・ビデオチャットなどを活用して、顔を見て話す機会を増やすことで孤立感や不安感を軽減する
 
 

2.勤務ルールの見直し

テレワークでの勤務体系や勤務ルールを整備することで、そのルールを守っていればある程度まで働き方は自由と定めるのも手です。
具体的には以下のようなルールの導入を検討すると良いでしょう。

・勤務時間や休憩時間、報告方法などを明確に定め、かつ報告を義務化する
・作業内容や成果物の提出を義務化し、マネージャーは提出物を定量的かつ定性的に評価する
 
 

3.勤怠管理ツールの導入

先にもご紹介したような、テレワーク中に社員がどのような業務を行っていたかを確認可能な勤怠管理ツールや、パソコンの操作ログを取得できるソフトウェアの導入を検討すると良いでしょう。
 
 

4.コワーキングスペース・サテライトオフィスの活用

テレワークやリモートワークを社員に柔軟に認めつつ、コワーキングスペースやサテライトオフィスの利用を推奨するのも手です。
コワーキングスペース・サテライトオフィスは、自宅や本社以外の場所で仕事ができる施設です。これらのスペースの活用には、以下のようなメリットがあります。

・作業環境や設備などを提供することで、仕事の効率や快適さを向上可能
・他の社員や他社の人と交流する機会を提供することで、情報共有や学習、創造性などを促進可能
・自分の好きな場所や時間に仕事ができる選択肢を増やすことで、働き方の多様性や満足度を高められる
 
 (13533)

たとえばコクヨでは渋谷ヒカリエの8Fに位置するワークラウンジ、Creatve Lounge MOVを展開しています。キャリアも国籍も異なる会員の方々が集い、緩やかなコミュニティや協働が生まれる空間となっています。実際にMOVを訪れると、やはりテレワークだけでは得られない「情報共有の機会」「学習機会」が得られ、強い刺激を得られます。

編集部では実際に「Creative Lounge MOV」に潜入し、リポートを公開しています。以下の記事をご覧ください。
【潜入リポート!#11】会話が生まれるコワーキングスペース!Creative Lounge MOV に潜入! -

【潜入リポート!#11】会話が生まれるコワーキングスペース!Creative Lounge MOV に潜入! -

【潜入リポート!#11】会話が生まれるコワーキングスペース!Creative Lounge MOV に潜入! -

在宅百貨編集部員が、オフィスと自宅以外のさまざまなサードプレイスに潜入し、その様子をリポートします! 第11回では、渋谷ヒカリエの8Fに位置するワークラウンジ、Creatve Lounge MOV に潜入!ぜひご覧ください!

また、そのほかのコワーキングスペース・サテライトオフィスについても取材を重ねています。

テレワークでのサボりを未然に防ごう:すぐできる3つの対策

最後にテレワークでのサボりを未然に防ぎやすい、すぐにでも始められる3つの対策を紹介します。
 
 

1.作業時間の徹底管理

徹底的な作業時間管理でサボりを防ぎ、生産性を向上させましょう。タイマーを使って集中時間と休憩時間を設定すると効果的です。またSlackやチャットワークなど各種チャットツールで定時に業務報告をするような決まりを作るのも有効でしょう。
 
 

2.作業環境の見直し

テレワークでのサボりが発生しやすいのは、もしかしたら自分も含めて社員の「自宅での作業環境」が悪いせいかもしれません。快適な作業環境を整えることで、集中力を高めサボりを防ぎやすいです。適切な照明や椅子、デスクなどを選びましょう。
たとえば近年、人気が高まっているアイテムの1つは「スタンディングデスク」。
 
 (13549)

立った状態で作業できるので眠気防止にもなり、またテレワークで体を動かす機会が少なくなる中、ちょうどいいアイテムです。

社員の在宅ワーク環境が「あまり良くない」場合、在宅ワークで使う椅子や机、周辺機器の購入費用を会社で補助できないか、社内で検討するのも手です。

なお、おすすめのスタンディングデスクは以下の記事にまとめてあるので参考にしてください。
スタンディングデスクは健康と気分転換に効果あり!選び方【コクヨ編集部も愛用】 -

スタンディングデスクは健康と気分転換に効果あり!選び方【コクヨ編集部も愛用】 -

スタンディングデスクは健康と気分転換に効果あり!選び方【コクヨ編集部も愛用】 -

テレワークの流行により、自分でワークスペースを作る機会が増えたいま、スタンディングデスクが人気。1日中座ったままで仕事をしていると、血流が悪くなり健康に悪影響を及ぼすことも。欧米ではいち早くスタンディングデスクが普及しており、実はコクヨ「在宅百貨」編集部の筆者も個人的に愛用しています。この記事ではその効果とメリットをご紹介します。

3.社員に対して「即レス」を推奨する

オフィス勤務が「同期型」の働き方だとしたら、テレワークは「非同期型」の働き方です。Slackなどで送られてきたメッセージに何日も返信をしなかったとしても、そのことが仕事や成果物に著しい悪影響を与えていなければ大きな問題にはならないでしょう。
ですが、こうした「未読スルー」や「既読無視」が積み重なると、やはり社内で「DMの無視が多いが、テレワークでサボっているのではないか」という声は大きくなります。
よってテレワークだからこそ相手への即レスを意識するという文化を、社内に植え付けていくことは大事です。「確認中」や「感謝」といったスタンプを、Slackで相手のDMに対して返すだけでも意味はあります。
 
 

まとめ

テレワークは快適な労働環境を整えなければ、「サボり」が発生しやすい働き方であるという一面はあります。海外ではイーロン・マスク氏率いるX社(旧:Twitter社)が全面的にテレワークを禁止する等、オフィス回帰の動きもみられます。
しかしサボりはちょっとした工夫で未然に防ぐこともできますし、テレワークにはオフィスコストの削減や社員のQOLの向上、勤務地にとらわれず多様な人材を採用できるといった大きなメリットもあります。
テレワークの良くない部分は改めつつ、今回紹介したような工夫を通じてより生産性を高めていきましょう。