【2023年度版】テレワーク導入・促進に対応している主な助成金や補助金まとめ

テレワークは、働き方改革やBCP対策として注目されています。しかし、テレワークを導入するには、設備投資やセキュリティ対策などの費用がかかります。そこで、国や地方自治体では、テレワーク導入を支援する助成金や補助金を用意しています。本記事では、2023年度にテレワーク導入・促進に対応している主な助成金や補助金をまとめました。

新型コロナウイルスの感染拡大に当たり、感染拡大防止を目的に「テレワーク導入」に関する助成金は全国的に急増しました。
現在、5類移行への流れもあり、2023年度現在は新型コロナ関連の助成金は大きく減少しましたが、現在でもテレワークやリモートワークの促進、またDX化やITツール導入に関する助成金には様々なものがあります。今回はテレワークやリモートワークの促進に対応している助成金をまとめて一覧でご紹介します。
 
 

IT導入補助金2023

IT導入補助金2023とは、中小企業や小規模事業者がITを活用した経営改善や生産性向上を図るために、ITツールの導入費用の一部を補助する制度です。
 
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2023年度は、2023年10月から始まるインボイス制度に向けた環境対応とDX・業務効率化、生産性向上に向けた支援として、補助額の下限が引き下げられたり、また一部下限の撤廃が発表されました。これにより、より多くの中小企業・小規模事業者が補助金を活用できるようになりました。

今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツールを単独又は連携して導入するための事業費等に要する経費の一部を補助することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的としています。
各枠ごとに申請締め切りが設定されており、もしかしたらこの記事をお読みの方の中にも「既に申請締め切りが過ぎてしまっていた」ケースもあるかもしれません。
ですがIT導入補助金は平成28年度から継続的に実施されている、IT導入に関しては最大の補助金の1つです。申請に当たっては用意すべき書類や各種手続きも多いため、仮に今年の締め切りに間に合っていないとしても、2024年の申請を見越して2023年内に動いておくことはおすすめです。
 
 

通常枠

通常枠には、A類型とB類型があり、費用の2分の1、最大で450万円までが補助されます。いずれも生産性の向上を図ることを目的として、在庫・物流管理、勤怠管理、会計管理など、様々な業種・組織形態に対応した幅広いITツールが対象となります。
申請する類型ごとに必要なプロセス(業務工程や業務種別)の数が異なり、A類型が1プロセス以上、B類型は4プロセス以上が必要となります。
A類型 B類型
補助額 5万円~150万円未満 150万円~450万円以下
補助率 1/2以内 1/2以内
補助対象経費 ・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(最大2年分)
・導入関連費
・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(最大2年分)
・導入関連費

デジタル化基盤導入類型

デジタル化基盤導入類型は、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化したもので、補助を申請する額によって補助率が異なります。
また、機能要件として、会計・受発注・決済・EC のうち1機能以上で~50万円部分を、2機能以上で50万円超~350万円部分が補助されます。
補助額 ~50万円部分 50万円超~350万円部分
補助率 3/4以内 2/3以内
補助対象経費 ・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(最大2年間分)
・ハードウェア関連費
・導入関連費
・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(最大2年間分)
・ハードウェア関連費
・導入関連費
PCやタブレット、レジや券売機等のハードウェア購入費用も補助対象となりますが、要件として、「デジタル化基盤導入類型のITツール使用に資するもの」と定められています。
PC・タブレット・プリンター・
スキャナー・複合機
レジ・券売機等
補助額 ~10万円 ~20万円
補助率 1/2以内 1/2以内

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠はサイバーセキュリティ対策の強化を目的としており、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「テキストサイバーセキュリティお助け隊サービス」に掲載されているサービスが補償対象となります。
補助額 5万円~100万円以内
補助率 1/2以内
補助対象経費 ・サービス利用料(最大2年分)

厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」

厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」は良質なテレワークを制度として導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主が助成の対象。
 
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テレワーク勤務を、新規に導入する事業主のほか、試行的に導入している又は試行的に導入していた事業主も対象となります。

【機器等導入助成】受給要件と受給額

機器等導入助成の主な受給要件として、「テレワーク実施計画を作成し労働局から認定を受けること」、「所定の内容を規定した就業規則又は労働協約を整備し実施すること」、「テレワーク実施状況が支給要領の基準を満たすこと」、「テレワークを実施しやすい職場風土作りの取組を行う事業主であること」が定められています。
補助率 1企業あたり、支給対象となる経費の30%
補助額上限 ※以下のいずれか低い方の金額が上限となります。
・1企業あたり100万円
・テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

詳細は厚生労働省の公式サイト【/リンク:公式URL】 をご確認ください。
 
 

【目標達成助成】受給要件と受給額

目標達成助成は、離職率に係る目標値を達成していること、そして、対象期間内でテレワークを実施した労働者の人数が定められた条件以上であることが受給条件となります。
補助率 1企業あたり、支給対象となる経費の20%
(賃金要件を満たす場合35%)
補助額上限 ※以下のいずれか低い方の金額が上限となります。
・1企業あたり100万円
・テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円
詳細は厚生労働省の公式サイト をご確認ください。
 
 

東京都「テレワーク促進助成金」

東京都「テレワーク促進助成金」とは、都内の中堅・中小企業等がテレワークの導入や拡充に必要な機器やソフトウエア等の経費を助成する制度です。2022年度は、非正規社員へのテレワーク拡充に伴う環境整備に対応するコースが新たに設けられました。
 
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助成金の上限額は、常時雇用する労働者が2人以上30人未満の企業等で150万円、30人以上999人以下の企業等で250万円です。申請期間は、2023年5月8日から2024年1月31日までです。

事業者の規模(常時雇用する労働者数) 助成金の上限 助成率
30人以上999人以下 250万円 2分の1
2人以上30人未満 150万円 3分の2
対象経費
パソコンやタブレット、スマートフォンのほか周辺機器・アクセサリ等の物品購入費(※税込単価 1,000 円以上 10 万円未満に限る)、モバイル端末等機器整備費用、システム機器等の設置・設定費用、システム機器等の保守委託等の業務委託料、機器リース・レンタル料、テレワーク業務関連ソフト利用料、システム導入時運用サポート費用

東京都「サイバーセキュリティ対策促進助成金」

東京都「サイバーセキュリティ対策促進助成金」とは、都内の中小企業等が自社の情報資産を守るためのサイバーセキュリティ対策の取組に係る経費を助成する制度です。
 
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2023年度は、助成下限額が30万円から10万円に引き下げられました。助成対象者は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のセキュリティアクション二つ星を宣言している事業者です。助成対象経費は、UTM等、ネットワーク脅威対策製品、コンテンツセキュリティ管理製品、システムセキュリティ管理製品、暗号化製品等です。助成率は2分の1以内で、助成限度額は1500万円です。申請スケジュールは、6月募集、10月募集、1月募集が予定されています。

助成対象
事業者
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している
SECURITY ACTIONの2段階目(★★二つ星)を宣言している都内の中小企業者・中小企業団体
助成対象
経費
サイバーセキュリティ対策を実施するために必要となる下記の機器等の導入、およびクラウド利用に係る経費
(1)統合型アプライアンス(UTM等)
(2)ネットワーク脅威対策製品(FW、VPN、不正侵入検知システム等)
(3)コンテンツセキュリティ対策製品(ウィルス対策、スパム対策等)
(4)アクセス管理製品(シングル・サイン・オン、本人認証等)
(5)システムセキュリティ管理製品(アクセスログ管理等)
(6)暗号化製品(ファイルの暗号化等)
(7)サーバー(最新のOS搭載かつセキュリティ対策が施されたものに限る)
(8)標的型メール訓練
助成率 助成対象経費の1/2以内
助成額 1,500万円(下限額 10万円)※標的型メール訓練に関しては別途規定
申請スケジュール
申請エントリー
受付期間
電子申請
受付期間
交付決定 助成対象期間
6月募集 令和5年
6月12日(月)9:00~14日(水)17:00
令和5年
6月13日(火)9:00~16日(金)17:00
令和5年
8月下旬
令和5年9月1日
~12月31日
10月募集 令和5年
10月10日(火)9:00~12日(木)17:00
 令和5年
10月11日(水)9:00~16日(月)17:00
令和5年
12月下旬
 令和6年1月1日
~4月30日
1月募集 令和6年
1月10日(水)9:00~12日(金)17:00
令和6年
1月11日(木)9:00~16日(火)17:00
令和6年
3月下旬
令和6年4月1日
~7月31日

助成金や補助金を利用する際のポイント

助成金や補助金を利用する際には、双方の違いを理解する、対象経費や申請に必要な書類を事前に確認するといったポイントを押さえておきましょう。
 
 

「助成金」と「補助金」の違いと要件を理解しておく

まず、「助成金」と「補助金」の違いについてご存じでしょうか?
助成金とは返済義務の無いお金であり、要件さえ満たせば受け取ることができる可能性が高いです。
補助金は助成金と同様に返済義務はないものの、支給にあたって審査が比較的細かく行われます。テレワークの補助金の場合、たとえば審査に当たって就業規則や実際の環境などを細かくチェックされることも。

また助成金も補助金も、助成終了後にも適切に管理をすることが求められ、抜き打ちで検査が入ることもあります。
どちらも「無条件でお金がもらえる」ものではなく、特に補助金は審査が厳しく、提出書類も多いのが特徴です。助成金も要件は細かく定められているので、事前に確認しておきましょう。
 
 

対象経費や申請に必要な書類を事前に確認しておく

補助や助成の対象となる経費は、各プログラムで異なります。同様に必要な書類も、それぞれ異なります。各種書類を揃えたり、審査の準備には時間がかかるものです。申請締め切りのぎりぎりになってから準備を始めると、書類の不備などの原因にもなります。
場合によっては当年ではなく「翌年の申請」を念頭に置き、時間をかけて申請準備をすることもおすすめします。
 
 

まとめ

今回はテレワーク導入・促進に対応している主な助成金や補助金についてまとめました。本記事では各制度の概要を掲載しましたが、詳細については必ず各機関の公式ホームページを確認してください。また、状況により助成金の申請受付を早期終了するなど変更がある場合もありますので、注意して手続きを進めてください。