日常生活やビジネスシーンでよく使われる「捺印」と「押印」。これらの言葉はよく聞くけれど、実はどう違うのか分からないという方も多いのではないでしょうか?
実は、捺印と押印には法的効力の違いがあります。また、最近では電子印鑑という便利なツールも登場していますが、これが捺印や押印の代わりになるのか気になる方もいるでしょう。
この記事では、捺印と押印の違いや法的効力について解説し、電子印鑑のメリットや使い方についても紹介します。
この記事では、捺印と押印の違いや法的効力について解説し、電子印鑑のメリットや使い方についても紹介します。
「捺印」「押印」の違い
一般的に、「捺印」は契約書や証明書などの重要な書類に対して行うもので、法的効力が高いとされます。「押印」は領収書や納品書などの日常的な書類に対して行うもので、法的効力は低いとされます。
押印とは「記名押印」を意味する言葉です。記名と署名の違いは自筆か否か。記名の場合、自筆ではなく、印刷や他人の代筆などを指します。捺印は「署名捺印」を意味し、署名+捺印はもっとも法的効力が強いです。
「捺印」「押印」の法的効力には違いがある?
「捺印」と「押印」は、印鑑を押すという意味では同じですが、法的効力には違いがあります。
自筆の「署名」は筆跡鑑定にも用いられるため、法律上の証拠能力があります。この「署名」と「捺印」の組み合わせはもっとも法的効力が強いです。一方で「記名」は自筆ではないこともあり、それだけでは法的効力は極めて弱いです。
そもそも「押印」「捺印」は書類に必要なの?
近年、企業の文書管理は「電子」へと移行してきています。それでもなお、日本では「印鑑文化」が深く根付いており、その結果として印鑑を使った認証制度がリモートワークの普及を妨げるケースが生じています。そのため、印鑑の必要性について改めて議論がされています。
2020年に法務省から発表された見解によれば「契約書への押印は必ずしも必要ない」とのこと。具体的には「私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない」と述べられています。
言い換えると、印鑑の有無に関わらず契約の成立は可能であるということです。そのため今後は「捺印」「押印」の代替策の広がりが期待されるでしょう。
印鑑の代替策としては、デジタル署名や電子認証サービス、電子印鑑の使用が考えられます。
参考:法務省
2020年に法務省から発表された見解によれば「契約書への押印は必ずしも必要ない」とのこと。具体的には「私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない」と述べられています。
言い換えると、印鑑の有無に関わらず契約の成立は可能であるということです。そのため今後は「捺印」「押印」の代替策の広がりが期待されるでしょう。
印鑑の代替策としては、デジタル署名や電子認証サービス、電子印鑑の使用が考えられます。
参考:法務省
電子印鑑は「押印」「捺印」の代わりになる?
前述の法務省の見解からも分かる通り、電子契約に限らず、契約書に「押印」「捺印」は必ずしも必要ではありません。
よって電子印鑑は、当事者同士の意思の合致があれば「ハンコ」の代わりになります。 ただ電子契約の場合、慣行として「電子署名」の付与を行うのが一般的です。これはなりすましなどのトラブルを防ぐためです。
よって電子印鑑は、当事者同士の意思の合致があれば「ハンコ」の代わりになります。 ただ電子契約の場合、慣行として「電子署名」の付与を行うのが一般的です。これはなりすましなどのトラブルを防ぐためです。
まとめ
混同しやすい「捺印」と「押印」ですが、ビジネスシーンにおいても使用頻度の高い言葉であるため、それぞれの言葉の違いを正しく理解しておきましょう。ビジネスの場では、契約書の他、稟議書、各種申請書など、様々な手続きで押印が必要とされ、印鑑を重視する「印鑑文化」は現在でも深く根付いています。一方で「脱ハンコ」の流れも広がりを見せており、生産性やペーパーレス化などの様々な観点から、電子印鑑のニーズは今後もますます高まっていくでしょう。