時間と場所にとらわれない「ウルトラワーク」とは?定義やハイブリッドワークとの違い

ウルトラワークとは、時間と場所にとらわれない新しい働き方。従来のオフィスワークと異なり、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、好きな場所で仕事ができるのが特徴です。この記事では、ウルトラワークの魅力から、ハイブリットワークとの違いについて解説します。

コロナ禍で急速に広まったテレワーク。アフターコロナに移行する中で「どのようにハイブリッドワークに移行すべきか」「経営層としては出社に戻したいが、社員はテレワークを希望している。どのようにこの2つを両立すべきか」と迷う企業も増えています。

そうした中、改めて注目されている概念が「ウルトラワーク」。2012年夏ごろからサイボウズ株式会社が積極的に提唱し、実践していることで有名です。
 
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「フレックス」や「スーパーフレックス」はコロナ前から一般的な働き方。場所の制限はあるものの、始業時間や就業時間が自由に決められるという特徴があります。一方、「在宅勤務」は勤務時間が決まっているものの、自宅などで仕事をする働き方。これらと比べ、「ウルトラワーク」は時間にも場所にも縛られず、社員のワークライフバランスの改善や生産性の向上につながると期待されています。

今回は「ウルトラワーク」とは何か、またウルトラワークの考え方を取り入れるためのポイントなどを解説。アフターコロナに移行する中で、出社と柔軟な働き方の両立を実現するヒントとして、ぜひ役立ててください。
 
 

ウルトラワークとは

ウルトラワークとは「時間と場所の制約を無くした働き方」。サイボウズ株式会社が2012年8月26日から運用している新しい働き方です。
 
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先述した通り、「フレックスタイム制」はコアタイムに働くかどうかの違いはあれど、合計労働時間の管理や働く場所の制限があります。しかし、ウルトラワークは完全に労働時間が決まっておらず、働く場所も自由です。

同社では2010年より在宅勤務制度をスタートし、2012年より「ウルトラワーク」を試験運用。その後、同社では2018年に社員が自身の働き方を自由に記述・定義できる「働き方宣言制度」を導入しました。

同社が導入しているウルトラワークは事前に宣言した「働き方」とは異なる働き方を単発で行うことが可能という制度。つまり、一部の労働時間を事前に定めた働き方とは時間も場所もまったく違うやり方で代用することができます。

参考:サイボウズ株式会社「多様な働き方へのチャレンジ」
 
 

ウルトラワークとハイブリッドワークの違い

 
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ハイブリッドワークとは、オフィス勤務とテレワークを組み合わせた働き方。社員は週に数日オフィス勤務し、残りの日々はテレワークをするといった働き方のことです。

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ハイブリッドワークもウルトラワークもどちらも「柔軟性の高い働き方」であることは共通してます。一方でハイブリッドワークは、企業側が「週に何日出社し、週に何日リモートワークなのか」定めるケースがほとんど。一方、ウルトラワークは「時間と場所の制約を完全に無くした働き方」です。

ウルトラワークを提唱したサイボウズ株式会社の場合は、「働き方宣言制度」に基づいてまず社員が自身の働き方を自分で定義。なおかつ定義した働き方とは異なる働き方も許容する制度としてウルトラワークを運用しています。

いずれにしても「社員自身が時間にも場所にもとらわれず、自由に働き方を定義できる制度」である点がハイブリッドワークとの大きな違いです。

参考:サイボウズ株式会社「多様な働き方へのチャレンジ」
 
 

「ウルトラワーク」は労働時間の何パーセント程度まで可?

サイボウズ株式会社の場合は、ウルトラワークを総労働時間の10%程度までと定めています。

普段の働き方は「働き方宣言制度」に基づいて自ら定めたうえで、たとえば「一定期間にわたって帰省の必要が生じた」「ワーケーションにトライアルしてみたい」といった際に10%の労働時間までは柔軟にウルトラワークが可能という設計になっています。
出社時間や勤務場所を元々ある程度自由に定義しつつ、その上、加えて10%は時間も場所も完全に自由であるため柔軟性が高いと言えるでしょう。

参考:サイボウズ株式会社「多様な働き方へのチャレンジ」
 
 

ウルトラワークで働き方はどう変わる?

コロナ禍で国内企業の働き方は一変したといっても過言ではありません。
 
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しかし、国内企業にとってはやはり2020年以降のテレワークは「緊急対応」だった面が否めません。テレワークを継続する場合には上の図の通り様々な課題が山積みであり、これらを解決できない場合はまずは出社に戻したいというニーズが大きいです。

こうした中で、2012年夏から提唱され始めたウルトラワークという働き方が「ヒント」になります。2023年現在、ウルトラワークは「アフターコロナでの働き方の設計」に参考にできる点が多い仕組みではないでしょうか。

たとえば「原則出社」に戻しつつも、ウルトラワークの仕組みも一部取り入れて「総労働時間の10%は時間も場所も自由」とすることで、社員がテレワークを取り入れたり、ワーケーションを行うといった余地を設けることができます。

テレワークにはワークライフバランスとの両立や生産性向上、また「優秀な人材確保に繋がりやすい」といったメリットもあります。働き方の完全な自由度を「総労働時間の10%は確保する」といった取り組みは、始めやすい企業も多いでしょう。
 
 

ウルトラワークの考え方を企業で取り入れるには?

社員の理解を得るウルトラワークを導入するには、社員の理解と協力が必要です。誰かがウルトラワークで働いている場合、どのように打ち合わせを行うのか、仕事の進捗をどう管理するかは大きな課題。そのため、対象者、ウルトラワークの頻度、ウルトラワークのルールをしっかりと策定しておく必要があります。

また、ウルトラワークを導入した後は、ウルトラワークの導入効果を評価する必要もあります。生産性の向上、離職率の低下、社員の満足度などを確認し、改善点があればルールの見直しを行いましょう。
 
 

まとめ

自由度が高く、社員の満足度の向上や生産率のアップにも繋がる可能性のあるウルトラワークですが、すべての社員に適しているわけではありません。
たとえばチームワークが必要な仕事や、機密性の高い仕事には、ウルトラワークは向いておらず、ウルトラワークの取得が逆に仕事の足を引っ張ってしまうことも。ウルトラワークを導入する際には、社員の性格や仕事内容を考慮する必要があります。