テレワーク手当(在宅勤務手当)の支給の必要性と手当の目安・相場を在宅百貨が解説

テレワーク手当とは、テレワークに伴う社員の負担を軽減するためのものです。本記事では、テレワーク手当の支給の必要性と手当の目安・相場を解説します。

テレワークの導入、普及をきっかけに支給されるようになった「テレワーク手当」。従業員の負担を軽減し、テレワークのメリットを最大限に引き出すために必要な手当です。

しかし、テレワーク自体がコロナ禍前まで国内企業にあまり導入されていなかっただけに、「テレワーク手当」が何に充てられる手当なのか、相場はどのくらいなのか、受け取った社員はどう手当を活用すればいいか分からないというケースも少なくないのではないのでしょうか。

この記事では、実際に社内でテレワークを取り入れている在宅百貨が「テレワーク手当(在宅勤務手当)」について、社員側と会社側、それぞれの視点から解説します。
 
 

テレワーク手当(在宅勤務手当)の支給は何故必要?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業がテレワーク(在宅勤務)を導入しましたが、テレワークには社員と会社の双方にメリットとデメリットがあります。
しかし、テレワーク手当(在宅勤務手当)を支給することで、テレワークによるデメリットをある程度補うことが可能。テレワーク手当の支給は、以下の理由で必要といえます。
 
 

【社員側】在宅勤務では飲食費や光熱費、通信費など家計の支出が増大する

テレワークでは、通勤費やスーツ代などの出費が減りますが、その一方で家で過ごす時間が増えるために飲食費や光熱費、通信費などの出費が増えます。
 
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たとえば1ヶ月160時間テレワークを行った場合、光熱費と通信費で約4,000円~10,000円ほどを社員個人が負担しなければならないことになります。

テレワーク手当が給与に上乗せされて支給されれば、本来会社側が負担しなければならない電気代や通信費の個人支払い分をフォローすることが可能。つまり、社員側のテレワークのデメリットのひとつである支出の負担をなくすことができます。
 
 

【会社側】社員の自宅の環境が悪いと生産性が低下しやすい

一口に「テレワーク」といっても、社員の自宅の仕事環境はさまざま。デスクがないためにローテーブルと座椅子で仕事していたり、スペックの低いパソコンで仕事をするしかない社員もいるでしょう。そういった社員の中で、よくない環境で仕事をすることや、手当がないことに対し不満が募ってしまうのはある意味仕方のないこと。

しかし、テレワーク手当を支給することで、社員が自宅の仕事環境を整えることができ、仕事のクオリティはもちろん、モチベーションもアップさせることができるでしょう。
 
 

【会社側】テレワーク手当(在宅勤務手当)の支給に関する詳細

テレワーク手当(在宅勤務手当)を給与に上乗せして支給する場合、会社側は以下の点に注意する必要があります。
 
 

テレワーク手当は課税?非課税?

テレワーク手当は「実費支給型」ならば、一部が非課税。しかし、非課税にするためには社員本人が自宅環境から仕事で使った分を計算する必要があります。

国税庁によると、テレワーク手当を非課税にするための計算は以下の通り。

・通信費
→通話料金…通話明細で業務のための通話が確認できるため全額非課税
→基本使用料およびネット通信費…以下の計算式で算出した金額は非課税
 
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なお、より細かく業務使用分が算出できる場合、この計算式を使う必要はありません。

・電気料金…以下の計算式で算出した金額は非課税
 
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こちらもより細かく計算できる場合はこの計算式を使わなくてOK。また、レンタルオフィス代などは全額非課税になります。

たとえば月に20日間テレワークしている社員がいたとします。その社員は、25㎡の部屋に住み、8㎡の部屋を丸々仕事部屋として利用。ネット通信費が6,000円、電気料金が20,000円だったとしましょう。

この場合、ネット通信費は2,000円、電気料金は2,133円、併せて4,133円の現金支給が非課税に。それ以上は課税されます。
 
 

現金支給である必要はある?現物支給でもOK?

テレワーク手当は多くの企業が現金支給の形を取っていますが、もちろん現物支給でもOK。なお、現物支給の場合、会社からの貸与という形にすれば非課税ですが、従業員に現物給与という形にすると課税対象となるので注意が必要です。
 
 

相場はいくらくらい?

株式会社PLAN-Bが運営するカジナビが2021年に行った調査によると、リモート手当の金額としてもっとも多かった回答が「1,000~5,000円程度」。44%を占めていました。

相場は、会社や業界、地域などによって異なりますが、やはり1,000円~5,000円程度。10,000円超は全体の10%でした。
しかし先述した通り、非課税になる額は限られているので、支給額は社員の在宅勤務に伴う費用や環境の改善に見合ったものであるべきでしょう。
 
 

【社員側】テレワーク手当(在宅勤務手当)で整備すべき対象の例

テレワーク手当を受け取った社員は、テレワークに必要なものを整備することが可能になります。そこで実際にテレワーク手当で整備すべきアイテムや環境をあらためてご紹介します。
 
 

通信環境、デバイス

テレワークでは、通信環境やデバイスが必須。つまり、テレワーク費用はネット回線費やパソコン、ミーティング用のウェブカメラ、マイク、ヘッドセットなどです。デバイスやネット通信環境がないとそもそもテレワークができないため、最優先で揃えるべきでしょう。
 
 

コワーキングスペースなどの利用費

自宅での作業がどうしても苦手、という方も中にはいるでしょう。この場合は手当を利用してコワーキングスペースなどを使うのも一案です。ただしテレワーク手当は「在宅勤務に対する手当」という面があることに加え、企業によってはコワーキングスペースやカフェに仕事を持ち出すことを好ましくないと考えるケースもあります。

本当にコワーキングスペースで作業をする場合は、念のため上司などに「在宅勤務手当を利用してコワーキングスペースで仕事をしてもいいか」確認しましょう。
 
 

その他

ほかにも、テレワークでは会社に行けば掛からなかったはずの費用、たとえば飲食代、文房具代などの消耗品費などが掛かります。テレワーク手当をそれらの費用に充てるのもおすすめです。
 
 

【詳細】テレワーク手当(在宅勤務手当)の相場の理想と現実

先述した通り、テレワーク手当でもっとも多い支給額は「1,000~5,000円程度」でしたが、同調査では、「リモート手当が足りない」と答えた人が半数以上の55%、理想額としてもっとも多かったのが「5,000〜10,000円未満」で42%でした。
つまり、テレワーク手当の相場の理想と現実には若干のギャップがあるようです。

このギャップがあまりにも大きいと、従業員のモチベーション低下に繋がりかねません。企業と社員、双方が納得するテレワーク手当の支給額を探っていくことをおすすめします。
リモート手当の理想と現実に大きなギャップ | コクヨのMANA-Biz

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オフィス以外の場所で働くリモートワークの増加にともない、個人負担の出費が課題になっている。『企業からのリモート手当に関するアンケート調査』の結果から、リモート手当の現状を探る。
※『企業からのリモート手当に関するアンケート調査』は2021年1月に株式会社PLAN-Bが運営するカジナビが、全国のリモートワーカー292人を対象に実施。

まとめ

テレワーク手当は、テレワークに伴う費用負担を軽減するだけでなく、社員や会社にとって様々なメリットがあります。しかし、現状ではテレワーク手当の支給が十分に行われておらず、相場も低い傾向にあります。そこで、テレワーク手当の相場を適正化することが必要です。
そのためには会社と社員の協力は必須。すでにテレワークは定着化したこともあり、今後のためにもテレワーク手当に関する知識や意識を高めることが大切でしょう。