「夜分遅くにすみません」は何時以降にメールを送るときに使う?正しい使い方

夜間のビジネスメール・チャットのやり取りでは、「夜分遅くにすみません」と付け加えたくなります。この文言は基本的に午後9時以降に使うのが適切ですが、緊急性を正しく伝えることも重要。本記事では「夜分遅くにすみません」の適切な使い方とマナーを解説します。

2023年時点でのビジネスメールの1日平均の送信数は15.24通、受信数は49.97通(日本ビジネスメール協会調べ)と言われています。ビジネスメールに加えて、ビジネスチャットでのやり取りも含めると「テキストコミュニケーション」の機会は、上記の件数以上に頻繁でしょう。

そしてテキストコミュニケーションの特徴は、電話や対面でのやり取りと比べて「夜分」の送受信もできることです。 とはいえ夜間のやり取りでは「夜分遅くにすみません」と付け加えたくなるものですが、そもそもこの文言は「何時以降」に送信するメールにつけるのが適切なのでしょうか。本記事では、「夜分遅くにすみません」の適切な使い方とマナーを解説します。
 
 

そもそも「夜分遅くにすみません」はどんな意味?

「夜分遅くにすみません」は、言葉の通り「夜遅くに連絡してすみません」という意味です。
夜遅い時間帯は、会社の同僚や先輩、取引先などにとっては「私的な時間」かもしれません。その私的な時間を、ビジネスの連絡によって妨げてしまう可能性があることへの配慮を示すことができます。ビジネスマナーとして、相手の時間を尊重し、失礼のないようにするための重要な挨拶文の一つであると言えるでしょう。
 
 

「夜分」と「遅く」が重なる「夜分遅く」は重複表現?

なお「夜分遅く」という表現は、一見すると「夜分」と「遅く」が重複しているように感じられるかもしれません。しかし、この表現は重複表現ではなく、むしろ丁寧さを強調する効果があります。ちなみに「夜分」は夜の時間帯を全般的に指すものであり、「遅く」はその中でも特に遅い時間であることを強調しています。
 
 

夜分遅くにビジネスメールやチャットを送るのはNG? | 勤務時間外は要注意

「夜分遅く」にビジネスメールやチャットを送る機会がある方は、この記事をお読みの方の中にも少なくないでしょう。
近年は
・フレックスタイム制の広がり
・柔軟なテレワークや在宅勤務を取り入れる企業の増加
・ビジネスチャットツールを導入する企業の増加
など様々な要因によって、たとえ同僚同士であっても「同じオフィスで同じ時間に仕事をする」ことは少なくなりました。
よって従来よりメール・チャットの送受信の時間帯が多様になっています。
 
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社内でやり取りするときや、メンバーにフリーランスがいる場合は、夜間のビジネスメール・チャットの送受信も決して珍しくありません

なお「夜分遅く」にメールやビジネスチャットでやり取りする場合、「社外との連絡」については慎重さも大切です。
取引先へのメールを夜間に送信する場合、その時間帯や内容によっては
・明らかに勤務時間外の時間帯にメールを送るのは、非常識では無いか
・この企業は労働環境が悪いのではないか
といった印象を、相手に与えてしまう可能性もあります。

つまり夜間のビジネスメール・チャットのやり取りは、取引先からのイメージを悪化させることもあるのです。
夜分遅くにメールを送る際は、夜分遅くにいますぐ伝達すべき内容があるかどうかも健闘しておくと良いでしょう。
 
 

「夜分遅く」とは何時以降? | 午後9時以降~が1つの目安

では「夜分遅く」は、具体的に何時以降を指すのでしょうか?結論から言えば、おおむね「午後9時以降」が目安だと考えられています。
その理由の1つとして、2024年現在は「フレックスタイム」の導入企業が増えており、午後9時くらいまで稼働しているビジネスパーソンが少なくないことが挙げられます。
 
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「フレックスタイム」は、必ず出勤すべき「コアタイム」と、いつ出勤してもいい「フレキシブルタイム」に分かれています。フレキシブルタイムの開始・終了時間は労働者が自由に決められますが、一般的には午前9時~午後9時くらいが多いです

そのため午後9時くらいまでであれば、「夜分遅く」であることを気にする必要はありません。
逆に言えば、午後9時以降は「退勤済み」のビジネスパーソンが増えます。つまり午後9時以降に連絡する場合は「夜分遅くにすみません」と一言添えることをおすすめします。
 
 

休日のメールも避けるべき

なお午後9時以降の夜分遅くの時間帯と同じく、できれば休日のメールも避けるほうが好ましいです。とくに社外とのやり取りは、前述のように自社の労働環境を疑問視されるきっかけになる可能性があるためです。
つまり、極めて高い緊急性がある場合を除いては、社外との連絡は平日の一般的な時間帯に行うと良いでしょう。
 
 

深夜(業務時間外)にビジネスメールやチャットを送る際の「書き方」と注意点

深夜にビジネスメールを送る際の文面の書き方としては

・夜分遅くに連絡することに対する「お詫び」
・連絡が必要な「緊急性」

という2点をしっかり伝えることが重要です。
 
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理想的なビジネスメールの例です。まずメールの冒頭で、夜分のメール送信について「お詫び」します。それから本題に入りつつ、なぜ夜分に送信したか「緊急性」を簡潔に説明することがポイントです。最後に締めの言葉として「再度のお詫び」を入れると、相手に悪印象を持たれにくい理想的なメールとなります

冒頭で深夜にメールを送ることについて謝罪する

深夜にメールを送信する場合は、必ず冒頭に「謝罪」の言葉を入れましょう。「夜分遅くに失礼いたします」「夜分遅くのメールになり申し訳ございません」などの書き方が無難です。前述のとおり、結びの言葉として再度の謝罪を入れるとより丁寧なメールになります。
 
 

緊急性の高さをしっかり説明する

緊急性が低い場合、夜分遅くにメールを送信する必要はありません。深夜にビジネスメールを送信する場合は、必ず緊急性の高さを説明するようにしましょう。たとえば、「明日の午前に必要な書類を確認してほしい」「システムトラブルが発生した」などです。
 
 

深夜にビジネスメールを送る際の例文

深夜にビジネスメールを送る際の、具体的な例文も一点、ご紹介します。

「夜分遅くにメールを送信し、大変申し訳ございません。
明日の午前中に提出が必要な資料について、いくつか確認したい点がございます。お手数をおかけしますが、添付ファイルをご確認いただき、ご返信いただけますと幸いです。
深夜のメール送信となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。」

このように、冒頭と末尾で夜遅くにメールを送ることを謝罪し、メールを送信した理由や緊急性についてしっかりと説明することが大切です。
 
 

緊急性が低い場合は「メールの予約送信」もおすすめ

緊急性が低い場合でも、早めにメールを送信したい場合もあるでしょう。そんなときはGmailの送信日時指定機能がおすすめです。 PCでの送信日時指定は以下の方法で設定できます。 まず、Gmailを開きます。
 
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左上の①「作成」アイコンをクリックし、新規メッセージ画面を開きます。②メールを作成します。メールの作成が終わったら、「送信」ボタン横にある③三角アイコンをクリックし、④「送信日時を設定」をクリックします。

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⑤送信したい日時を選びます。⑥「日付と時刻を選択」を選ぶと、表示されている選択肢以外の日時を設定することができます。

ちなみに「夜分遅くにすみません」の言い換え表現には何がある?

「夜分遅くにすみません」の言い換え表現をいくつかご紹介します。
 
 

「夜分遅くに失礼します」

「夜分遅くに失礼します」は、「夜分遅くにすみません」と同様の意味を持つ表現。「失礼します」は、相手に失礼なことをしてしまうことへの謝罪の気持ちを表します。「夜分遅くにすみません」と比べると、より改まった印象を与える表現だと言えます。
 
 

「夜分遅くに申し訳ございません」

「夜分遅くに申し訳ございません」も、「夜分遅くにすみません」と同様の意味を持つ表現です。「申し訳ございません」は、相手に迷惑をかけてしまったことへの詫びの気持ちを表します。「夜分遅くにすみません」と比べると、より丁寧な印象を与える表現だと言えます。
 
 

「夜分恐れ入ります」

「夜分恐れ入ります」は、夜遅くにメールを送ることへの恐縮の気持ちを表す表現です。ただ、「恐れ入ります」は謙譲語で、相手への敬意を示す一方で「恐縮」のニュアンスが入ってしまうため、自分側に過ちがある場合はふさわしくない表現になってしまいます。
 
 

まとめ

「夜分遅くにすみません」は、夜遅くにメールやチャットを送る際に使われる表現です。一般的に、「夜分遅く」とは午後9時以降を指します。ビジネスにおいては、相手の勤務時間外や休日にメールを送ることは避けるべきですが、やむを得ず送信する場合は、冒頭と末尾で謝罪の言葉を添えるようにしましょう。また、メールを送信する理由や緊急性についてしっかりと説明することも大切です。緊急性が低い場合は、「メールの予約送信」機能を活用するのもおすすめです。「夜分遅くにすみません」の言い換え表現には、「夜分遅くに失礼します」「夜分遅くに申し訳ございません」「夜分恐れ入ります」などがあります。状況に応じて適切な表現を使い分けましょう。