社用PC利用率が約8割という高い数字からうかがえるように、各企業でも在宅勤務を円滑に行えるようにするため、社用のノートPCを支給する会社が増えています。たとえば株式会社ドワンゴでは、従業員に業務用の個人ノートPCを支給するサポートを行っています。
このようにテレワーク、在宅勤務が浸透してきたとはいえ、社用PCを持ち帰ることはNGとされている企業もまだまだ多いのではないでしょうか。とはいえ、自宅で仕事をする際に私物のパソコンに会社の重要な資料をダウンロードや保存するのはセキュリティの面で抵抗感もありますよね。
そこで本記事では、社用PCの持ち帰りがNGの際の対処法を解説します。
社用PCの持ち帰りがNGの際の対処法
・Chromeリモートデスクトップで社用PCにアクセス
・NTT東日本とIPAによる「シン・テレワークシステム」で社用PCにアクセス
・「シンクライアント端末」の支給について会社と交渉
・「box」を利用してクラウドストレージで情報管理を行う
・パソコン購入費用のサポートを会社と交渉する
Chromeリモートデスクトップで社用PCにアクセス
「リモートデスクトップ」とは、PCやスマホ、タブレットといった端末から、離れた場所にあるPCの遠隔操作ができる機能です。
職場のセキュリティポリシーによっては、Chromeリモートデスクトップの利用が禁止されていることもあります。社内のシステム管理部門などに、あらかじめ確認するようにしてください。
「Chromeリモートデスクトップ」の設定方法は以下の通りです。
まず遠隔操作したいホスト側の社内PCに「Chromeリモートデスクトップ」を設定します。
chromeウェブストアの「Chromeリモートデスクトップ」のページを開きます。
【1】①「Chromeに追加」をクリックします。
【2】「『Chrome Remote Desktop』を追加しますか?」と聞かれるので②「拡張機能を追加」をクリックします。
【3】ChromeリモートデスクトップがChromeへ追加され、③Chromeリモートデスクトップのアイコンが追加されたことを確認します。
【4】先ほど確認した④Chromeリモートデスクトップのアイコンをクリックすると、「リモートアクセスの設定」ページが開くので、⑤ダウンロードボタンをクリックします。
【5】「インストールの準備完了」のポップアップが出てきたら⑥「同意してインストール」をクリックし、インストールダイアログの指示に従いインストールします。
【6】インストールが完了すると、ホストのパソコンに名前を付けるよう求められます。⑦パソコンの名前を入力し、⑧「次へ」をクリックします。
【7】リモート接続する際のPINの入力を求められるので、⑨設定したいPIN(6桁以上)を入力し、⑩「起動」をクリックします。
【8】「Chromeリモートデスクトップ」の設定が完了し、リモートデスクトップが起動しました。
続いて、ホスト側のパソコンの「スリープ設定」と「ディスプレイ設定」を変更します。
Windowsの標準仕様では一定時間パソコンを操作していないとスリープするように設定されています。ホスト側のパソコンがスリープしてしまうと、クライアント側のパソコンからのリモートアクセスができなくなるため、電源とスリープの設定をあらかじめ変更しておく必要があります。
また、ノートパソコンを閉じた状態でもスリープにならないよう設定しておけば、カバーを閉じディスプレイが見えない状態でリモートアクセスできるので、その設定もしておきましょう。
【1】パソコン画面左下のWindowsマークをクリックし、続いて歯車マークをクリックして設定画面を表示します。「システム」→「電源とスリープ」をクリックして、スリープが発動する時間設定を「なし」にします。これでパソコンが自動的にスリープにならないよう設定できました。
【2】次にパソコンのカバーを閉じてもスリープにならないよう設定していきます。「電源とスリープ」ページの下部にある「電源の追加設定」→「カバーを閉じたときの動作の選択」をクリックして、「カバーを閉じたときの動作」を「何もしない」にして「変更の保存」をクリックします。これでノートパソコンのカバーを閉じても自動的にスリープや電源オフにならないよう設定が完了しました。
次に、クライアント側パソコンからホストへアクセスしてみましょう。
【1】自宅の私物PCなどクライアント側のパソコンからGoogleアカウントにログインし、Googleリモートデスクトップのページを開き、①ホストのパソコンの名前をクリックします。
【2】②設定したPINを入力し、③「→」マークをクリックします。
【3】ホストのパソコンへリモートアクセスすることができました!Chromeの画面の中にホストのパソコン画面が表示されています。
クライアント側のパソコンはあくまでホストのデスクトップ画面を表示・操作しているだけで、マシンパワーは社内PCのものを利用し、プログラムや社内情報をダウンロードする必要はありません。ただし、ホストのパソコンが稼働していることを前提とするので、社内LAN内のPCがシャットダウンするとリモートデスクトップ機能を利用できなくなるので注意が必要です。
NTT東日本とIPAによる「シン・テレワークシステム」で社用PCにアクセス
「シン・テレワークシステム」は、コロナ禍における在宅勤務のためのシステムとして、独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) とNTT 東日本が、緊急構築したリモートデスクトップ型のテレワークシステムで、2020年4月から無償で提供されています。
「シン・テレワークシステム」公式サイトより。契約不要、ユーザー登録不要の、簡単で安全なリモートアクセスシステムです。IPAとNTT東日本が配布しており、信頼性が高いのもポイントです。
サーバーには、通常版 (ファイルの共有が可能) と「共有機能無効版」があります。企業のセキュリティポリシーでファイルの持ち出しを禁止している場合は、「共有機能無効版」を利用することができる点でも安心です。
「box」を利用してクラウドストレージで情報管理を行う
「box」は、複数のセキュリティ対策を組み合わせることによって、強固で確実なセキュリティを実現している、リードプラス株式会社が提供するクラウドストレージサービスです。
「box」公式ウェブサイトより。Word、Excel、PDF、写真などの120種類のファイルをダウンロードすることなくプレビューすることができるので、情報流出のリスクを減らすことができます。
テレワークで社用PCが持ち帰れない/支給されない際のその他の対処法
会社に対し、どういった対処法を交渉することが考えられるでしょうか。
「シンクライアント端末」の支給について会社と交渉する
端末に記憶デバイスを持たないため、データの流失や紛失といった事故を防ぐことができ、社員が外出先・自宅などから社内システムを安全に利用するための手段として有効です。
また、「シンクライアント端末」として利用が想定されるWindowsタブレットなどは、Windows10Proが入った状態で1万円代から購入可能と端末を安価に抑えることができ、会社へ導入を交渉する際のプラス要素になると言えます。
パソコン購入費用のサポートを会社と交渉する
海外では「BYOD(Bring Your Own Device)」の考え方も浸透
日本ではBYODの普及率が約10%と低い水準に留まっていますが、企業にとってはコスト削減や社員の柔軟な働き方に対応できる、社員にとっては使い慣れた端末をビジネス利用でき業務効率化につながるといったメリットがあります。
まとめ
色々な対処法が考えられますが、在宅でもスムーズに仕事を進めるためには、常に社内でコミュニケーションを取り、パソコンをセキュアな状態で利用する意識を持つことが大切です。
社内でのコミュニケーションを円滑にするのにおすすめのツールは、以下の記事でご紹介しているので参考にしてください。
【2022年版】社内コミュニケーションツールおすすめ11選|メリット/導入のポイントも -
在宅ワークが一般化している現在では、「社内コミュニケーションツール」の導入が欠かせません。社内コミュニケーションツールの活用で、意思疎通や情報共有の円滑化が可能。本記事では、社内コミュニケーションツールのおすすめ11選とメリットをご紹介します。