「週休3日制」は導入すべき?メリット・デメリットや導入企業例、検討すべきこと

週休3日制は、仕事とプライベートのバランスをとる新しい働き方。しかし本当に効果的なのでしょうか?週休3日制のメリットやデメリット、導入企業の事例、検討すべきことなどを紹介します。

近年、注目を集めている「週休3日制」。官民問わず導入が進んでおり、2024年には千葉県がフレックスタイム制を導入する方針を発表し、勤務時間を割り振ることで週休3日が可能になることが話題になりました。
テレワーク、在宅勤務などの社内制度と併用することで、かなり多くのビジネスパーソンの方にとって「働きやすい」環境がより作れる制度と言えるのではないでしょうか。 働き方改革の象徴とも言える「週休3日制」ですが、一方で導入には多くのメリットとデメリットがあり、企業にとって慎重な検討が必要にもなります。
本記事では、週休3日制のメリットとデメリット、導入企業の例、導入前に検討すべき点について解説します。
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テレワークは、完全に自宅で仕事をする働き方。一方、ハイブリッドワークは、オフィスに出社する日と自宅で仕事をする日を組み合わせて働くことを指します。この記事では双方の働き方の違いや課題について解説します。

週休3日制とは?

週休3日制とは、1週間に3日の休日を設ける働き方のこと。詳しくは後述しますが、週休3日制には、給与維持型、労働時間維持型、給与減額型の3つの運用パターンがあります。
いずれのタイプの「週休3日」でも、まず導入の目的には生産性の向上が挙げられます。「週4日で週5日分の業務をしよう!」と従業員のモチベーションが上がり、業務効率化に積極的に取り組む動機付けができるためです。
加えて週当たり1日休日が増えることで、ワークライフバランスが改善されます。テレワーク制度などを導入している企業が、さらに週休3日も取り入れると社員側にとっては非常に魅力的な環境になるでしょう。
つまり採用面での競争力の強化につながります。
 
 

「週休3日」は何曜日が土日以外の休みとして追加になるの?

「週休3日にする場合、この曜日を3日目の休みにするように」という決まりはありません。つまり企業及びビジネスパーソンの協議によって、休みにする曜日は決まります。
ちなみに株式会社NEXERが運営するキャリアバイブルが2022年4月に行った調査では、週休3日制を希望する人に休み方を聞いたところ、44.2%が3連休を希望。そしてそれを上回る51.5%の人が、「2連休ともう1日」という休み方を希望したとのこと。 つまり「土日+水曜休み」と「金土日か土日月の3連休」を希望する人が全体的に多いようです。
 
 

【詳細】週休3日制は三種類に分けられる

週休3日制には、給与や労働時間をどのように調整するかによって、以下の3つのタイプがあります。
 
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1つ1つ詳しく見ていきましょう。
 
 

【1】給与維持型

給与維持型は、休日を増やしつつ給与水準が維持される休み方。
勤務日の労働時間は変わらないため、従来の週休2日制よりも総労働時間が減少することになります。従業員は生産性を上げ、週4日の労働時間で週5日分の成果を出すことが求められます。
 
 

【2】労働時間維持型

労働時間維持型は、休日が増える代わりに1日の労働時間を増やし、週あたりの労働時間を変えないパターン。
たとえば、週5日8時間勤務から、週4日10時間勤務に変更する場合、週の労働時間は同じ40時間です。このパターンでは、給与も週休2日制のときと変わりませんが、1日の労働負荷が高くなるデメリットがあります。
 
 

【3】給与減額型

給与減額型は、休日が増える代わりに給与が減額となります。
たとえば、週休2日制の週40時間労働から週休3日制の週32時間労働になった場合、給与が従来の80%相当(40分の32相当)に減額するイメージ。企業側が一方的に導入することは許されず、必ず従業員の同意が必要となります。
 
 

週休3日制を導入している主な企業の例

週休3日制を導入している企業は、まだ全体の少数派。ですが、導入・検討を進める動きが広がっています。ここでは、代表的な「週休3日制」導入企業の事例を紹介します。
 
 

ファーストリテイリング(ユニクロ)

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ファーストリテイリングは、ユニクロ、ジーユーなどのアパレルブランドを国際的に展開していることで知られる企業。2015年から働き方改革の一環として週休3日制を導入しています。
なおファーストリテイリングでは、労働時間維持型を採用。1日10時間、週4日勤務する必要がありますが、休日は平日3日となります。(参考:東洋経済ONLINE)
 
 

LINEヤフー

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LINEヤフーは、2023年に「LINE株式会社」「ヤフー株式会社」が再編する形で誕生した企業です。
同社は基本的にフルフレックス制を採用。加えて、小学生以下の子どもがいるまたは家族の介護をしている従業員については、土日にくわえ、週あたり1日の休暇(無給)を取得できます。(参考:LINEヤフー)
 
 

週休3日制を導入する上で論点となること

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週休3日制を導入する際は「給与は維持か、減額か」「仕事量が変わるのか」「週あたりの労働時間は減るのか増えるのか」など、論点にすべきことはたくさんあります。
つまり、働く側の希望を満たせない場合、週休3日制が逆に労働の負担になることもあります。週休3日の代わりに「1日10時間勤務」の場合、逆に社員が週4勤務でへとへとになってしまうリスクもあるでしょう。
そのため、「給与維持型」「労働時間維持型」「給与減額型」はどれにするのか、慎重に検討が必要です。
 
 

週休3日制を導入する際に検討すべき「5つのこと」

「給与維持型」「労働時間維持型」「給与減額型」はどれにするのか、慎重に検討が必要と先ほど記しました。どの型を選ぶのかは、週休3日の導入目的自体を明確化することでおのずと答えが出るでしょう。
そして週休3日制を導入する際には、以下の5つのことを検討することで制度の導入がよりスムーズかつ有意義になります。
 
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【1】導入目的の明確化

まずは週休3日制を導入する目的を明確化しましょう。たとえば「ワークライフバランスの向上」「子どもがいる社員でも働きやすい環境を作る」といった目的であれば、可能であれば生産性を高めたうえでの「給与維持型」を導入できるのがベスト。AIツールの導入や派遣社員、アルバイトなどの登用によって総コストを大きく上げることなく生産性を上げ、社員に対して週休3日を導入できないか検討すると良いでしょう。
そうした対応が難しい場合は「給与減額型」も検討の価値があります。
目的を明確化することで、制度の設計や評価、改善などがスムーズに行えます。
 
 

【2】対象者を決める

週休3日制を「全従業員に適用するのか」「一部の部署や職種に限定するのか」「個人の希望に応じて選択させるのか」などを決めることも重要。
正社員のみを対象とした場合、契約社員などにとっては不平等感が否めない状態になります。一方で契約社員も対象にした場合「正社員も契約社員も皆、週休3日を選択した」際、自社サービスや事業の運営は円滑にできるのか検討する必要も出てきます。
そのため、実際には「子どもがいるか、要介護者がいる」社員に対象を限定する企業も多いのが実情です。
 
 

【3】制度の利用期間を決める

週休3日制は「恒久的に適用するのか」「期間限定で試験的に導入するのか」を決める必要もあります。正社員限定で試験的に一年間制度を運用し、効果的かつ満足度が高い施策だと判断される場合に契約社員などにも制度を拡大するのも良いでしょう。
 
 

【4】給与や所定労働時間を再検討する

週休3日制を導入すると、給与や所定労働時間が変わる可能性があるため、どのように調整するかを決める必要があります。
給与や所定労働時間を再検討する際には、労働基準法や社会保険法などの法令や規則なども考慮しましょう。自社の法務部や社労士、顧問弁護士などと相談の上、どのような制度設計を行うか慎重に決めましょう。
 
 

【5】兼業や副業はOKなのか

休日が増えると、その時間を使って兼業や副業をしたいと考える従業員も出てくる可能性があります。兼業や副業は「社員のスキルアップにつながる」「人材の離職防止に効果的」といったメリットがある一方、生産性に影響が出る可能性や、情報漏洩のリスクなどもあります。
また「そもそも週休3日にすることで、ワークライフバランスを実現してほしい」「子どもや要介護者との時間を大切にしてほしい」といった導入目的の場合、経営層やマネジメント層にとっては「その時間で別の会社の仕事を行われるのでは意味がない」という考え方もできるでしょう。
兼業や副業の可否については、企業と従業員の双方の利益やリスクを考慮して決めることが重要です。
 
 

【結論】週休3日制のメリット

週休3日制は、従業員のワークライフバランスを高めるメリットがあります。休日が増えれば、プライベートな時間を充実させたり、ビジネススキルをさらに高めるための自学自習の時間に充てることができます。

また、多様な働き方を求める「社員側」にとっても魅力的な制度となり、離職防止や採用市場での競争力強化にもメリットがあります。 加えて労働時間が減ることで、従業員が限られた時間の中で効率的に仕事をするようになります。生産性や収益性の向上やコストの削減も期待できます。
 
 

【結論】週休3日制のデメリット

週休3日制のデメリットは、どのようなタイプの「週休3日制」を導入するかによっても違います。たとえば「労働時間維持型」の週休3日の場合、社員の1日の労働負荷が高くなるため、社員の体調管理に注意が必要です。できればオフィス内に休憩室なども設けることが望ましいでしょう。

また週休3日制を全社的に導入する場合、顧客とのやり取りに支障が出る可能性もあります。休日が増えることで、顧客への対応が遅れる恐れも考えられます。「水曜日に3日目の休みを取る社員」「金曜日に3日目の休みを取る社員」などを分散する必要があり、人員のやりくりには工夫が必要です。
こうしたやりくりが難しい場合は、まずは「週1日は在宅勤務など自由な場所での労働を認める」といった働き方の導入から進めていくことをおすすめします。
代表的な制度には「ウルトラワーク」があります。ウルトラワークについてはこちらの記事で解説しています。
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ウルトラワークとは、時間と場所にとらわれない新しい働き方。従来のオフィスワークと異なり、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、好きな場所で仕事ができるのが特徴です。この記事では、ウルトラワークの魅力から、ハイブリットワークとの違いについて解説します。

まとめ

週休3日制は、1週間に3日間休むという新しい働き方です。仕事とプライベートのバランスをとることができるメリットがありますが、給与や労働時間の調整方法によってはデメリットもあります。
総じてチャレンジングな制度ですが、魅力的な働き方といえるでしょう。

以上、コクヨが運営するテレワークメディア「在宅百貨」がお届けしました!