ハイブリッドワークとテレワークの違いは?メリットと普及率や実際の出社率、課題

テレワークは、完全に自宅で仕事をする働き方。一方、ハイブリッドワークは、オフィスに出社する日と自宅で仕事をする日を組み合わせて働くことを指します。この記事では双方の働き方の違いや課題について解説します。

コロナ禍で多くの企業が取り入れた働き方であるテレワーク。オフィスではなく、自宅などで働くことを指します。一方、ハイブリッドワークとは、そのテレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方。
ハイブリッドワークでは、従業員が自分のライフスタイルや仕事のスタイルに合わせて、オフィスに出社する日数や時間を選ぶことができます。
 
 

ハイブリッドワークとは

ハイブリッドワークとは「常時リモートワーク」と「常時オフィスワーク」の中間のような概念です。
 
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一部の従業員はオフィス勤務、一部の従業員はリモート勤務といった働き方になります。どの従業員がオフィス勤務で、どの従業員がリモートワークとなるのかは「従業員が自ら決めることが可能」なケースもあれば「会社側が決める」ケースもあります。

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ハイブリッドワークには、まず完全にオフィスで働く社員とリモートワークの社員を分ける「従業員区分型」があります。人材管理が楽な反面、社員間に断絶が生まれやすいのが弱点。そうした課題が解消しやすい働き方には、会社がオフィスで働く曜日とリモートワークの曜日を決める「企業主導型」と、従業員がいつリモートで働くか能動的に決められる「従業員主導型」があります。

ハイブリッドワークとテレワークの違いは何?

テレワークは時間や場所にとらわれず、遠隔で働くワークスタイルの総称です。在宅勤務がもっとも典型的なテレワークの1パターンです。

そしてハイブリッドワークは前述の通り、オフィスワークとテレワークの中間のような働き方。企業によって実施状況は異なりますが、オフィスワークとテレワークを能動的に随時選択しながら働けるケースも増えています。

ハイブリッドワークの理想的な実施状況の例は、以下のようなものと言えます。
 
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インプットが必要な際や集中して作業をしたい際はテレワーク、コミュニケーションが必要な時はオフィスに出社します。集中する(テレワーク)→コミュニケーションをする(出社)→また集中をする(テレワーク)といったサイクルを回していくのがハイブリッドワークの理想形でしょう。

ハイブリッドワークの実施率は?出社/テレワークが両方認められている人の割合

WeWork Japanの調査「コロナ禍長期化における働き方意識調査2022」によると、一般従業員のうち「オフィス勤務とテレワーク勤務の両方が認められている人」の割合は全体の55.6%。
同調査の2021年版と比較すると、48.0%から55.6%に上昇しているとのこと。

なお従業員数1,000人以上の企業で働く一般従業員では「66%」がハイブリッドワークを認められています。一方で従業員数1,000人未満の企業で働く一般従業員は「41.3%」であり、中小企業でのハイブリッドワークの実施率は一つの課題であると言えそうです。

参考:PRTIMES「【コロナ禍長期化における働き方意識調査2022】ハイブリットワーク普及率が昨年より上昇の5割強となり、従業員・経営者層ともに、よりフレキシブルなワークスタイルの実現に向かう傾向」
 
 

ハイブリッドワークのメリットとは?

ハイブリッドワークのメリットにはまず生産性の向上が挙げられます。
仕事には対面で話した方が進めやすい業務もあれば、一人で黙々と進めた方が効率的な業務もあるものです。前者が必要な際には出社し、後者に相当する業務をしたい際にはリモートワークができるでしょう。こうした仕組みが整っていれば、従業員の満足度も上がりやすいです。

またリモートの社員が増えるとオフィスのスペースにも余裕が出やすいため、余った空間にカフェスペースや集中ブースを用意するのも良いでしょう。オフィスでの働き方をより快適にするきっかけにもなります。

ハイブリッドワークでの空間づくりなどについては、オフィスづくりを手掛けるコクヨマーケティングでも取り上げています。こちらの記事も合わせてぜひ参考にしてください。

今話題のハイブリッドワークとは?メリットや成功ポイントを解説|コクヨマーケティング

ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方のことです。新型コロナウイルスの感染対策としてテレワークを導入する企業が増え、ハイブリッドワークに注目が集まっています。ハイブリッドワークのメリットや課題について説明します。

ハイブリッドワークのデメリット

HubSpotが全世界のリモートワーカー、オフィスワーカー、ハイブリッドワーカーを対象に行った「ハイブリッドワーク実態調査2022」では、ハイブリッドワークのデメリットも顕著に浮かび上がっています。
同調査のうち、ハイブリッドワークのデメリットについて4項目を紹介します。

参考:HubSpot「ハイブリッドワーク実態調査2022」
 
 

人間関係構築の難しさ

HubSpotの調査によると、ハイブリッドワーカーの9割近くが「効果的に仕事をしている」と答えたにも関わらず、31%が人間関係の構築に難しさを感じていることが判明。毎日顔を合わせていない職場の人とコミュニケーションを取るのはかなり困難なことのようです。
 
 

「企業文化」を形作ることが難しい

「企業文化」とは、社員と企業が共有している価値のこと。HubSpotの調査では、ハイブリッドワーカーの40%が働く環境が異なることがハイブリッドワークでの業務進行や成果創出が滞る原因になったと答えたそう。
一方、回答者の30%が強固な企業文化を築くために会社は「エンゲージメント向上やチームづくりのための社内イベントに力を入れるべき」と回答したとのこと。ハイブリッドワークを取り入れる際には、企業文化の築きを前提にすることをおすすめします。
 
 

出社を増やした方がコミュニケーションしやすいことも多い

HubSpotの調査では、ハイブリッドワーカーの49%が、同僚とのコミュニケーションを効率化するために出社しているそう。つまり、仕事自体はオフィス以外でも行えるものの、同僚とコミュニケーションを取るために出社しているパターンが多いようです。
 
 

燃え尽き症候群になってしまう人もいる

ハイブリッドワーカーは燃え尽き症候群になりがち。HubSpotの調査では、就業規則が曖昧になったり、昇進の道が閉ざされがちなことがストレスや燃え尽き症候群に繋がりがちになるそう。回答者の90%が燃え尽き症候群の兆しを感じているとのことでした。
 
 

ハイブリッドワークの実際の出社率、出社ペースはどれくらいがベスト?

東京都が2023年4月に発表した都内企業のテレワーク実施状況によると、テレワークの実施回数は「週3日以上の実施が43.8%」。
そして、テレワークを実施する場合でも「フルリモート」は少数派で最低でも週1日以上は出社を求めるのが大多数であることも分かりました。

総じて出社とテレワークは「半々」程度でハイブリッドワークを行うのが落としどころと言えるでしょう。
 
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東京都の調査結果をベースに在宅百貨編集部が独自に画像作成

もっともハイブリッドワークの実施状況は従業員数1,000人以上の企業か否かで、大きく異なります。都内以外の地域も含めた統計では実施率や出社率、出社ペースは大きく下がる可能性がある点にはご注意ください。

参考:東京都「テレワーク実施率調査結果をお知らせします!3月の調査結果」
 
 

ハイブリッドワークに必要な環境とツール

ハイブリッドワーカーに必要な環境と、便利なツールをご紹介します。
 
 

【オフィス】フリーアドレス席の導入

ハイブリッドワークでは「出社する人」「リモートワークをする人」がまちまちになりやすいため、固定席を設けるよりもフリーアドレス席にした方が増減する出社率に対応しやすいでしょう。固定席にしてしまうとオフィスの床面積に対して、ぽつりぽつりとしか社員が居ないといった状況が生まれやすいです。
 
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とはいえフリーアドレスには、たとえば仲のいい社員ばかりが集まってしまい、おしゃべりに夢中になって生産が落ちるといったケースもあります。後述するように労務管理システムやタスクの可視化で「仕事が問題なく進んでいるか」管理する仕組みも必要です。

【オフィス】空いたスペースの活用

フリーアドレス席とハイブリッドワークを導入すると、オフィスに空きスペースが生まれやすいです。そのスペースを有効活用して、ラウンジを設けたり、集中ブースを設けたり、またマッサージチェアを置くなどして社員がリラックスできる環境を作ると良いでしょう。
 
 

【ツール】労務管理システムの導入

ハイブリッドワークではある社員は出社しており、ある社員はリモートワークとなるため総務やマネージャーが社員の勤怠管理状況を正確に把握するのが難しくなりやすいです。社員の勤怠状況などを管理するシステムも別途整備しましょう。
 
 

【ツール】ビデオ会議システムやビジネスチャットの導入

リモートワークの社員と出社の社員が遠隔でコミュニケーションを取ったり、リモートワーク中の取引先とのオンラインミーティングの機会は多々あります。その際はビデオ会議システムやビジネスチャットを活用しましょう。
なお、仮にもしもアフターコロナに移行する中でテレワーク関連の取り組みを縮小している場合は、取引先とのコミュニケーションの円滑化といった観点も踏まえて「ある程度はテレワーク関連の予算も確保しておく」のをおすすめします。
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ハイブリッドワークを成功させるためのポイント

ハイブリッドワークを成功させるポイントは、テレワークのルールを細かくし過ぎないこと、各従業員のタスクをできる範囲で可視化するといったことが挙げられます。
 
 

出社日数やテレワークのルールを細かくしすぎない

ハイブリッドワークの中でも、テレワークについては「集中して仕事をしたい」際に最適なワークスタイルです。つまり、テレワークでの社員の勤務体制を「厳しくしすぎる」と、手段と目的が逆転します。厳しい勤務体制が社員の集中を邪魔してしまうのです。

テレワークのルールを過剰なまでに厳しくしすぎるのは避けましょう。また同様に「出社日数のルール」を厳しくしすぎるのも避けた方がよいでしょう。

ハイブリッドワークにおける出社は「コミュニケーションが必要な場面でのやり取り」が目的。逆に言えば各社員がKPIややるべき仕事を既に洗い出しており、集中して仕事をすべき段階であれば出社せずにリモートで黙々と仕事をした方がベター。出社そのものを目的化するのは避けましょう。
 
 

各従業員のタスクをできる範囲で可視化

ハイブリッドワークではある社員はリモート、ある社員は出社となるので社員同士で他の人がどんな仕事をしているのか分からなくなりやすいです。
よって各従業員のタスクを出来る範囲で可視化するとよいでしょう。たとえば出勤時に社内のビジネスチャットに「その日行う業務」を報告し、退勤時に「進捗や成果を報告する」といったルールを設けるのも良いでしょう。
 
 

まとめ

ハイブリッドワークは、従業員にとっても企業にとってもメリットのある働き方。アフターコロナで完全リモートワークから完全オフィスワークに戻るよりも、ハイブリッドワークを取り入れ、出社する日を選べるようにした方が社員の生産性も上がります。

一方、ハイブリッドワークには、社員同士がコミュニケーションを取ることが難しくなったり、人間関係の構築が困難になることも。メリットとデメリットを見極め、社員の意見を取り入れながら仕事の生産性を上げるためのハイブリッドワークの取り入れ方をおすすめします。
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