ビジネスにおける雑談のメリット
雑談とは、明確なテーマを設定しない、他愛のない話のことです。ただし、プライベートでの雑談とは違い、ビジネス現場においては雑談にも目的があります。ビジネスにおける雑談の目的は「自分という人間を理解してもらう」「相手の人間性や人となりを知る」「信頼関係を構築する」ことなどが挙げられます。雑談を戦略的に利用できると、その後の商談などを有利に進められるかもしれません。
雑談が上手な人の特徴
雑談が上手な人には、共通点があります。ここでは3つの特徴を紹介しますが、いずれもベクトル(矢印)を自分よりも相手に向けることが大事です。
1.相手への興味関心が強い
雑談が上手な人は、基本的に相手への興味関心が強いです。相手は何に興味があるのかを考えることが、雑談力向上の第一歩になります。「こんなことを言って嫌われたらどうしよう」と考える人もいるかもしれません。一見相手の気持ちを考えているように思えますが、実は自分自身の保身を考えた心理であり、ベクトルは自分に向いているのです。
雑談をする時は自分が話したいことを話すのではなく、相手の反応を見ながら興味がありそうな話題で話をするようにしましょう。
2.共通点を見つけるのが上手
雑談が上手な人は、自分と相手の共通点を見つけるのが得意な傾向にあります。人は好みや趣味が共通している人ほど、親しみを感じやすいもの。共通点があると深い話がしやすくなります。もし趣味などが違っていたとしても、共通点をきっかけに相手の話を聞き出すチャンスができるでしょう。
3.聞き上手・質問上手
聞き上手は話し上手ともよく言いますが、ただ黙って聞いていれば良いというわけではありません。相槌を打ち、話を理解していることを相手に示すことは大事です。さらに上を目指すなら、質問を投げかけてみましょう。相手に「自分の話に興味を持っているんだな」と思わせることも重要なポイントです。
オウム返しやクローズド・クエスチョン(はい・いいえで答えられる質問やある程度答えの選択肢が決められている質問)で相手と自分の理解や解釈に相違が出ないようにし、話を広げたいときはオープン・クエスチョン(相手が答えを自由に話せる質問)を投げかけて相手の話をどんどん引き出してみてください。
雑談におすすめなネタやテーマ
雑談は特にテーマを決めないものだと先述しました。プライベートでの雑談はそれで問題はありません。しかし、ビジネスの場においては話を進めやすいテーマがあります。ここからは、自然に話を振れて、会話を広げやすいテーマを紹介していきます。
出身地に関する雑談
初対面の人と雑談する場合には、出身地に関する話題がおすすめ。自己紹介をした流れで出身地を尋ねても不自然にならないためです。気候や食事、など、話題を広げやすいのも魅力です。ただし、プライベートな話をいきなり深堀りするのは信頼度を下げ、怪訝に思われる恐れがあるため過度に聞きすぎないよう注意が必要です。
季節に関する雑談
「寒いですね」や「花粉症の季節ですね」など自然に話しかけられ、趣味や食事などに話を広げやすいのが季節に関する話題のメリットです。相手に子どもがいると分かっている場合は、行事の話を持ち出すのも良いでしょう。しつこく質問攻めにするのは良くありませんが、相手がたくさん話してくれるよう上手く聞き出してみましょう。
食事・趣味に関する雑談
食事の好みや趣味の話からは、相手の価値観や嗜好を知ることができます。共通点や相違点を見つけられ、お互いの人となりを知るのに適しています。ある程度長い付き合いをする相手と信頼関係を築くきっかけにもなってくれるでしょう。
また、情報を記憶しておくと次回以降の話のネタにできたり、食事の誘いなどにも繋げたりもできます。食事に関しては、自身も美味しいお店を知っておくと、話題の提供がしやすいです。
ニュースに関する雑談
相手が真面目な性格の場合は、ニュースや仕事、経済など時事ネタの話をしてみてはいかがでしょうか。ただし、このテーマには注意点が2つあります。
一つ目は、比較的大きいニュースを話題にすること。相手が知らないニュースだと、盛り上がりません。二つ目は、政治や宗教に関する話題は避けることです。内容によっては、場の空気が悪くなってしまいやすいためです。その他に、芸能やスポーツに関するニュースなどもチェックしておくと話題を広げやすくなりますよ。
身につけているものに関する雑談
服装、髪型、時計、メイク、ネイル、バッグやアクセサリー、持ち物などについての話題もおすすめ。基本的に褒めることから会話がスタートするので、相手を悪い気にさせずに話ができます。
自分に関する雑談
話題提供として、自分についての簡単な紹介をするのも有効です。最近起こったできごとを紹介したり、ちょっとしたネガティブな面を見せたりすると親近感を持ってもらえるかもしれません。現在ハマっていることなどを自分から話し、相手にも聞いてみるといった流れを作るのも自然です。 ただし、自分のことばかりを話し過ぎないように注意が必要。あくまでも話題提供だということを意識しましょう。
オンラインでの雑談のコツ
在宅ワークやテレワークが増えた今、オンラインでのコミュニケーションが普及してきています。それにより、対面と比べて雑談がしにくかったり雑談の回数が減ってしまったりといった、オンライン特有の問題も増えているのも事実です。ここでは、オンライン上でスムーズにコミュニケーションを取るための方法を紹介していきます。
1.MTGは顔出しで参加
MTGなどは、なるべく顔出しで参加するようにしましょう。例えオンラインであっても、顔が見えるのと見えないのとでは印象に大きな違いがあります。Zoomなどでは背景を変更できるツールもあるため、自宅内が見える心配をせず、安心して顔出し参加ができます。
2.チャットでも温度や人間性の出る表現を
チャットでは人間性の出る表現を心がけましょう。文字だけでのコミュニケーションは、必要最低限の言葉だけでホウレンソウ(報告、連絡、相談)を済ませがちです。チャットでは、対面とは違って声色や表情はわかりません。だからこそ、文末表現を少し変えたり、スタンプや顔文字、絵文字を積極的に使って気持ちや表情を伝えるのが重要なポイントとなります。
雑談力を磨く方法
コミュニケーション力はセンスや才能だと思っている人も多いのではないでしょうか。実は雑談力は、生まれつき決まっているものではなく、トレーニングによって後からでも身に付けられるものなのです。これから紹介する方法を実践して、雑談力を身に付けてみてはいかがでしょうか。
1.雑談の目的を明確にする
まずは、雑談する目的を明確にしておきましょう。雑談が苦手な人は「無目的に何かをすること」が不得意な傾向で、逆にしっかりと目的のある取り組みは得意な場合が多いです。このことから、プライベートにおける雑談は苦手でも、ビジネスシーンなどでの目的を持った雑談は比較的ハードルが低いと言えるでしょう。また、しっかりと目的を持っておくと、ダラダラと長い会話になってしまうのを予防できます。
2.雑談に必要な情報をリサーチしておく
ビジネスの場における雑談には、リサーチが必要不可欠です。教養として幅広い知識を学んでおくと、いざというときに役立ちます。雑談する相手の情報があらかじめ分かるのであれば、相手が好みそうなテーマを用意しておきましょう。印象を良くできるかもしれません。また、最初のうちはリサーチだけではなく、ある程度話の流れを決めておくのもポイントです。
3.雑談した内容をメモ、記憶しておく
雑談力向上のために「だれと、どんな話をしたか」をできる限り覚えておきましょう。雑談は、1回きりで済むことはあまりありません。ビジネスシーンではほとんどの場合、何度か顔を合わせる機会があります。そのため、以前話した内容をメモ、記憶しておくと次回以降の話のネタにできるのです。より深い関係を築きたい場合は、趣味や食事の好みを覚えておいてオフの日に誘うのもおすすめです。
雑談力を高めてビジネスもプライベートも充実させよう!
雑談力はビジネスにおいて商談を有利に進められるだけでなく、プライベートでも効果を発揮するもの。どんな人間関係においても信頼が重要視されている現代社会では、雑談力こそ最も身に付けておきたいスキルです。この記事を参考にして、雑談力向上を目指してみてはいかがでしょうか。