冷え性を引き起こす主な原因
まずは冷え性の原因から見ていきましょう。冷え性を改善するためには、その原因を把握し、自分がどれに当てはまるかを知ることが大切です。
筋肉量の違いや低下
筋肉量が少ない、または筋肉の働きが低下すると、冷えを感じやすくなります。体が温まるのは、筋肉がポンプの働きをすることによって、体の隅々まで温かな血液を循環させているから。筋肉量が少なかったり、働きが低下していたりすると、十分に血液を循環させられません。女性の場合は、男性よりも筋肉量が少ないためポンプの力が弱く、特に冷えを感じやすいようです。
また、長時間座っていることの多い在宅ワークでは、体を動かす時間が少ないため運動不足になりがちです。運動不足による筋肉量の低下によっても冷え性を引き起こします。
皮膚感覚の乱れ
皮膚の感覚が乱れることも、冷え性の原因です。体を締め付ける下着や、サイズの小さい靴などの締め付けには注意。血流の悪化・皮膚感覚の麻痺を引き起こし、寒いと感じられず体温調整が上手くできなくなってしまいます。
自律神経の乱れ
自律神経が乱れると血液の流れが悪くなり、冷え性の原因となります。自律神経は、体温調節の命令を出す神経です。この自律神経の命令によって、血液量を変えたり汗をかいたりして体温調節を行います。
自律神経が乱れる原因としては、ストレスや生活習慣の乱れ、栄養の偏った食事など。女性の場合は、生理や妊娠・出産などによるホルモンバランスの乱れも、自律神経の乱れにもつながります。
【タイプ別】冷え性の症状とセルフチェック法
冷え性は大きく分けて4タイプ。ここではタイプ別に、冷え性で見られる症状を解説します。また、自分がどのタイプに当てはまるのかが分かるチェック項目も挙げるので、参考にしてみてください。
冷え性タイプ①全身型
全身型は、ストレスや乱れた生活習慣によって新陳代謝が低下し、全身が冷えるタイプ。食欲不振・疲労感・倦怠感が生じ、1年中寒さを感じます。冷えが長引くと、手足だけでなく内臓まで冷えている可能性が高いです。甲状腺など他の病気が潜んでいる場合もあるため、医療機関で検査をすると安心でしょう。
<セルフチェック項目>
・胃腸が弱い
・肩がこりやすい
・貧血
・体温が低い
・朝がつらい
冷え性タイプ②四肢末端型
四肢末端型は、体の末端まで血液が行き渡らず、手足に冷えを感じるタイプ。無理なダイエットや運動不足などの生活習慣が原因となっている可能性が高く、10代~20代の女性に多く見られます。立ちくらみ・ニキビなどの肌トラブル・生理痛などの月経トラブル・筋肉量の低下を引き起こしやすいです。
<セルフチェック項目>
・手足が冷える
・爪が折れやすい
・肉や魚を食べない
・運動をしない
・過度なダイエットをしている
冷え性タイプ➂下半身型
下半身型は、ふくらはぎやお尻の筋肉のコリ、気や血の巡りの悪化による血行不良が原因となり、下半身が冷えるタイプ。長時間座っている在宅ワーカーがなりやすいと言われています。下半身が冷えているにもかかわらず上半身は熱くほてっているため、冷えと気づきにくい点が特徴です。イライラ・頭痛・肩こり・便秘・顔のほてり・月経トラブルなどが起こることもあります。
<セルフチェック項目>
・手は温かいが足が冷たい
・上半身に足をかきやすい
・寒い場所にいると、足先・ふくらはぎが冷える
冷え性タイプ④内臓型
内蔵型は、手足が温かくて下腹部や二の腕が冷たい、冷えを自覚しにくい隠れ冷え性と言われるタイプ。早めに対策を取らなければ、内臓機能が悪化する可能性があるため注意しましょう。
<セルフチェック項目>
・お腹が冷える
・夕方になると足がむくみやすい
・生理痛がひどい
・厚着をしても寒い
冷え性改善におすすめの対策方法
ここでは冷え性を改善する対策方法を4つ紹介します。食べ物や飲み物・お風呂・グッズ・ストレッチなど、体の中から温める方法や外から温める方法などさまざまです。
対策①体を温める食べ物・飲み物を摂る
食生活を見直して、体を温める食べ物や飲み物を積極的に摂取することが大切です。食べ物は、体を冷やすものと温めるものとに分けられます。なかでも、ニンジン・カボチャ・ゴボウなどの根菜類は、体を温める作用がある食べ物。スープや煮物などの温かい料理で摂りましょう。
普段の飲み物に関しても、常温以上のものを摂るように意識してください。コーヒーには利尿作用があるため、ホットで飲んでも体を冷やしてしまいます。ショウガ紅茶やココアなどを飲むのがおすすめです。
対策②お風呂・足湯を取り入れる
体を温めるには、お風呂に入ったり足湯を取り入れたりするのが効果的です。夏でも、シャワーで済ませるのではなく湯船に浸かるのがおすすめ。40度程度のぬるめのお湯に5~10分ほどゆっくり浸かると、血行が良くなり湯冷めしにくくなります。また、無機塩類系や炭酸ガスの入浴剤を使うと、体を温めるだけでなく疲労回復も期待できます。
忙しくてお風呂に入る時間が取れないという人は、バケツなどにお湯を入れた足湯を取り入れてみましょう。それだけでも全身が温まり、冷え性の改善に有効です。
対策③体を温めるグッズを使う
体を温めるグッズを使って外側からも冷え対策をしましょう。長時間座っている在宅ワークでは、体が冷えやすかったり、冷えを感じやすかったりします。以下のグッズを活用してみてください。
アイテム |
詳細 |
フットウォーマー |
・足元を温める ・ヒーターを取り外してルームシューズとして使えるタイプがある |
電気ひざ掛け |
・足元を温める ・大判タイプなら、ひざ掛けとしてだけでなく腰に巻いて使える |
足元パネルヒーター |
・足元を温める ・定番の足元に置くタイプのほか、机に取り付けられるタイプもある |
対策④ストレッチで血流を良くする
ストレッチにより血流を良くすることも、冷え性の改善策。在宅ワークで長時間座っていると、お尻から太もも部分の大きな筋肉が圧迫されるため、血液が循環せず冷えにつながります。適度な休息を取りつつストレッチも取り入れ、下半身の血流を改善しましょう。
冷え性対策におすすめの運動・ストレッチ
最後に、冷え性対策におすすめの運動やストレッチを紹介。どれも簡単にできる方法なので、運動不足になりがちな在宅ワークの合間に実践してみてください。
イスを使ったふくらはぎと太もものストレッチ
下半身の冷えには、ふくらはぎや太もものストレッチが効果的です。ふくらはぎ・太ももの筋肉は、足元から心臓へ血液を戻すポンプの働きをしています。そこの筋肉を鍛えれば血液の流れが良くなり、下半身の冷えが改善するでしょう。
<やり方>
①イスに座り、片足を伸ばして床と平行になる高さまで上げる
②つま先を体の方へ引き、かかとを突きだすようにして、ふくらはぎの筋肉を伸ばしたまま15秒キープ
➂今度はつま先を遠くに伸ばした状態で15秒キープ
④反対側の足も同様に行う
イスと机で行う腕立て伏せ
イスと机を使った腕立て伏せは、軽い負荷で肩や胸の周りの大きな筋肉を鍛えられ、デスクワークでの肩こり予防にもなります。
<やり方>
①机からイスを少し離して深く座る
②体よりも少し広めの間隔で両手のひらで机の縁を押さえて肘を90度に曲げる
➂腕立て伏せをするように、背筋を伸ばしたまま上体を机に近づける
④机に胸が着く直前で止めて5秒キープしたら、元の位置まで戻る
⑤5~10回を目安に繰り返す
ベッドに横たわりながら行うストレッチ
寝る時に足の冷えを感じる人には、寝たままできる簡単エクササイズがおすすめ。血流が良くなり、心地よい眠りを手に入れられるでしょう。
<やり方>
①仰向けに寝た状態で、両足を天井に向けて真上に伸ばす
②リラックスし、足の指をグッと握る・開くをゆっくり繰り返す
冷え性の原因を知り、自分に合った対策法を取り入れよう
長時間座り続ける在宅ワークでは、運動不足により体が冷えやすくなります。冷え性を改善するには、入浴や食生活の見直し、ストレッチなどの対策が効果的。また、グッズを上手に使って体の外から温めるのも良いでしょう。快適にそして集中して在宅ワークが行えるよう、冷え性対策を取り入れてくださいね。
在宅ワークの「座りすぎ」が体に与える影響って?腰痛対策とイスの選び方も紹介
在宅ワーク中は、トイレに行くなど以外はどうしても座りっぱなしに。座りすぎは心身に悪影響を与えるため注意が必要です。…