五月病とは? 概要となりやすい人の特徴
五月病という言葉自体は聞いたことがあっても、なかには病気について詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。まずは、五月病の概要や主な原因について解説します。五月病がどのような病気か、どんな人がなりやすいか知っておきましょう。
精神力・体力が消耗する病気
五月病は、精神力と体力が消耗される病気で、5月くらいの春先に起こりやすいとされています。5月は季節の変わり目であり、入学や就職などによる新しい環境に慣れてくる時期です。そのため、新入社員や学生がかかりやすい傾向にあります。
五月病は正式な医学用語ではないため、医療機関では「軽度のうつ」「適応障害」と診断されるケースがあります。五月病そのものは死亡に直結するものではありません。しかし、5月などの春先になると死を選ぶ人が増える傾向が見られるため、“五月病との関連性がある”という説があるようです。
症状としては一過性のものが多く、休息などを取ると改善されるケースがほとんど。しかし、少しでも症状を感じた場合は、早めに対処することが大切です。
ストレスが主な原因
五月病の主な原因はストレスです。例えば、転職や引っ越しなど環境の変化によるストレスや、現実と理想のギャップによる精神的ストレス・人間関係のストレスなどが挙げられます。
また最近では、コロナの影響によるリモートワークの増加も五月病の原因の1つと言われています。外出自粛などでストレスの発散が難しかったり、生活リズムの乱れが不安につながってしまったりと、今まで経験していない働き方によっても五月病になる可能性があるようです。
真面目な人が五月病になりやすい傾向
五月病は、真面目な性格の人がなりやすい傾向にあります。下記に挙げた項目が自分に当てはまるかチェックしてみてください。
・責任感が強く、1人で抱え込みがちな人
・仕事熱心な人
・完璧主義な人
・几帳面な人
・人と良い関係性を築こうとする人
・周囲を気にする、空気を読む人 など
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五月病の主な症状
次に、精神面・肉体面・行動面の3つに分けて、それぞれで表れる症状を解説します。症状を把握しておけば、五月病になった時に早めに対処できるはず。自分に当てはまる症状がないか確認してみましょう。
【精神面】気分の落ち込み・無気力さ
精神面においては「気分が落ち込む」「無気力になる」などの症状が見られます。
・憂うつ・悲しいなど、ネガティブ思考になる
・やる気が出ず無気力な状態になる
・焦りや不安によってイライラする
・人の話や周囲の態度などが気になる
・やり慣れていることでも緊張する
【肉体面】疲労感や頭痛・腹痛
さらにストレスを溜め込むと、以下の症状に加えて、めまい・動悸・震え・過呼吸などが出ることもあります。
・体のダルさ・疲労感がある
・ひどい肩こり・頭痛・腹痛が起こる
・食欲不振になる
・不眠、朝早くに目覚める
【行動面】対人関係のトラブルや生活の乱れ
精神面や肉体面における症状がさらなるストレスを招くと、行動面においても五月病の症状が出ることもあります。
・消極的になり、人との関わりを避ける
・欠席や遅刻が増え、対人関係のトラブルを起こす
・約束やルールを守らなくなる
・家事や仕事におけるミスや忘れ物などが増える
・暴飲暴食をする
・喫煙量などが増える
・身だしなみがだらしなくなる
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五月病になった時の対処法
次に、五月病になった時の対処法を紹介します。もし「自分は五月病かもしれない」と感じたら、落ち着いて以下のように対処してみましょう。
医師の診察を受ける
五月病の症状に困っている場合、または症状が強かったり2週間以上同じ症状が続いていたりする場合は、心療内科や精神科での診察を検討してください。仮に肉体的な症状が治まったとしても、その原因が明らかではない場合は受診した方が良いでしょう。
親しい友人や家族に相談する
友人や家族に相談するのも1つの対策です。コミュニケーションを取ったり、抱えている問題を話したりしてみてください。自分の中のマイナスな感情をやわらげられるだけでなく、考え方や気持ちの整理もできます。人に打ち明けることで五月病の原因が分かり、解決策が見つかる場合もあります。
ただし、不特定多数の人が集まるところに行くと、よりストレスを感じる場合があるので注意が必要。相談相手は親しい友人や家族などが良いでしょう。
五月病にならないための予防法
最後に、五月病にならないための予防法を見ていきましょう。ストレスを避ける・解消することが五月病の予防法ですが、治し方・抜け出し方にもつながります。五月病を未然に防ぐために取り入れるだけでなく、なってしまった時の改善策としても試してみてください。
リラックスできる時間を作る
意識的に気分転換の時間を作りましょう。その際、ストレスの原因から距離を置くことがポイント。例えば、ストレスの原因が仕事であれば、仕事を忘れる時間を意識的に作ってみてください。ほかにも、好きなものを食べたり、趣味の時間を大切にしたりするのも予防法として効果的です。
運動をする
適度な運動には、ストレスを軽減したり緊張をやわらげたりする効果が期待できます。運動して体を動かせば、ストレスや緊張などの精神的な疲労を肉体的な疲労に変えられます。この肉体的な疲労は、精神的な疲労と比べて少しの休息で改善されるケースが多いため、効率的にストレスを発散できるでしょう。
運動の量や質よりも、いかに習慣化できるかが大切です。もし運動をする習慣がない人は、ウォーキングなどがおすすめ。最初は10分程度から始め、徐々に時間を延ばすなどできることを長く続けてみてください。
規則正しい生活を送る
起床や就寝、食事時間などの生活リズムを一定にすると、体へのストレスが軽減されます。食事は、主食・主菜・副菜をバランス良く摂取しましょう。カフェインやアルコールの摂り過ぎは、ストレスを高める可能性があるため禁物です。
また、夜遅くまでテレビを見たり、携帯やパソコンをいじったりするのも控えてください。ライトの刺激が体内のリズムを崩す可能性があります。
完璧を求めない
完璧を求めず、多少の失敗やミスであれば、受け入れたり認めたりすることが大切です。物事を完璧にこなそうと思うと、できなかった時にストレスがかかります。「やろうと思った物事の8割程度ができていれば良し」など、自分の可能な範囲内で取り組みましょう。
五月病の原因や症状を押さえ、ならないための対策を取ろう
ストレスが主な原因である五月病は、だれでもなる可能性がある病気。五月病にならないためにも、原因や症状を押さえておくことが大切です。ストレスと上手に付き合ったり、規則正しい生活を送ったりするなど、五月病にならないための対策を取りましょう。そして、万が一五月病に当てはまるような症状がある場合は、無理をせずに病院を受診してくださいね。