テレワークが抱える主なデメリットと解決策!DX化や働き方改革の成功に繋げるには?

コロナ禍でテレワークが急速に普及しましたが、アフターコロナではテレワークの廃止の動きも。アフターコロナの今、改めてテレワークのメリットとデメリットを考えてみましょう。テレワークのデメリットを克服し、DX化や働き方改革の成功に繋げる方法を紹介します。

コロナ禍で急速に日本企業に浸透したテレワーク。今後も恒久的にテレワークが続くと思いきや、元々普及率が高かったアメリカのIT企業が次々とテレワークを廃止し、日本にも廃止の動きが見られています。

その原因として考えられるのが、テレワークによるデメリットを企業が重く考えていること。そこでこの記事では、テレワークのデメリットとその解決方法を解説。テレワークを上手く活用し、DX化や働き方改革に繋げる方法をご紹介します。
 
 

そもそも テレワークの普及率ってどんな感じ?

国土交通省が2023年3月に発表した2022年度(令和4年度)の「テレワーク人口実態調査」によると、全国の雇用型のテレワーカーの割合は2019年度から2021年度まで上昇傾向にあったものの、2022年度に下落。前年から0.9ポイントダウンした26.1%となりました。
 
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コロナ禍にあたる2020年度には前年比8.2ポイント、2021年度も前年比4ポイントも上昇。2022年度はアフターコロナでテレワーク率が下落した形になります。(参考:国土交通省「令和4年度テレワーク人口実態調査」より)

【前提】テレワークが向かない業種・仕事もある

国交省のテレワーク人口実態調査」の「業種別テレワーカーの割合」を見ると、雇用型テレワーカーでもっとも多い職種は「情報通信業」で74.1%。次に多かったのが「学術研究、専門・技術サービス業」で54.0%でした。
 
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一方、もっとも低かったのが「医療、福祉」で6.3%。「宿泊業・飲食業」も7.4%。対面がメインになる仕事の場合、テレワーク率は低くなります。(参考:国土交通省「令和4年度テレワーク人口実態調査」より)

【前提】テレワークは「100%完全テレワーク」である必要はない

ここまでに解説してきた通り、テレワークの普及率はコロナ禍と比較すれば下降しており、テレワークに向かない職種ではオフィス回帰が進んでいるのも事実。

ここで重要となるのは、そもそもテレワークは「100%完全テレワーク」である必要はないということです。

テレワークには業務効率などの面でまだまだ課題がある一方で、DX化のきっかけになり、ワークライフバランスのきっかけになるといったメリットも。
つまり無理のない範囲でテレワークを継続しながら、テレワークのもたらすメリットを自社の成長に繋げていくといった視点も重要になりつつあります。
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テレワークはデメリットだらけ?主な悪影響

テレワークにはメリットもありますが、デメリットも無視できません。
 
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業務量や業務効率に悪影響があることも

紙の書類を扱う業種だったり電話や対面業務のために出社する必要がある場合、テレワークにすることによって「資料がない」「この日はテレワークのはずだったのに急に出社の必要が出てきた」などイレギュラーのトラブルが起きることも。
さらに自宅がリラックスできすぎる環境の場合、仕事のペースが掴めず、業務効率が悪くなることもあります。
 
 

他の社員・スタッフとのコミュニケーションがうまくいかない

テレワークの場合、オフィスに出社していると毎日顔を合わせるはずの他の社員と会う機会が激減します。オンラインMTGやチャットなどで会話しても、表情や声のトーンなどの非言語的な要素が伝わりにくくなり、相手の意図や感情を正しく理解できなくなることもあるでしょう。
その結果、社員同士の溝が深まり、コミュニケーションがうまくいかなくなってしまいます。
 
 

労務管理・マネジメントが難しい

テレワークでは、上司や部下との距離が離れることで、労務管理やマネジメントが難しくなります。つまり、社員ひとりひとりが実際の稼働状況や進捗状況などを把握しにくくなり、社員の評価も難しくなってしまいます。
 
 

【課題別】テレワークのデメリットの解決策

こうしたデメリットを解決するための方法を、課題別にご紹介します。
 
 

【コミュニケーション】ハイブリッドワークを取り入れる

ハイブリットワークとは、出社とテレワークを組み合わせた働き方のこと。たとえば、週1日~2日は出社し、残りはテレワークにするといった働き方です。
 
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たとえば対面の会議やディスカッションが必要な場合、社員同士の関係維持を図りたい場合はオフィスワーク、それ以外はテレワークにするのがハイブリットワーク。出社しなくてもできる仕事、つまり集中する作業やオンライン会議、インプットの時間などをテレワークにすることで、双方のいいとこ取りが可能となります。

なお、ハイブリットワークについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
ハイブリッドワークとテレワークの違いは?メリットと普及率や実際の出社率、課題 -

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テレワークは、完全に自宅で仕事をする働き方。一方、ハイブリッドワークは、オフィスに出社する日と自宅で仕事をする日を組み合わせて働くことを指します。この記事では双方の働き方の違いや課題について解説します。

【労務管理・マネジメント】ジョブ型雇用の発想を取り入れる

労務関係やマネジメント関係のデメリットを解決したい場合、ジョブ型雇用の発想を取り入れましょう。ジョブ型雇用とは、従来の時間や出勤に基づく雇用ではなく、仕事の内容や成果に基づく雇用のことです。
 
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これまで日本の企業の基本だったのは「メンバーシップ型雇用」。これに対しジョブ型雇用では成果主義です。成果に応じて昇給し、仕事ができなければ解雇となるため、おのずと社員のスキルがアップ。テレワークだとしても、成果で判断されるため、“サボリ”のデメリットがなくなります。

ジョブ型雇用については以下の記事で詳しく解説しています。
【完全ガイド】メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用との違いとは?日本型雇用の欠点と課題 -

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近年、日本の労働市場では、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用という二つの概念が注目されています。メンバーシップ型雇用とは、従業員が組織に所属することを前提とした雇用形態で、ジョブ型雇用とは、従業員が特定の仕事に対して報酬を得る雇用形態のこと。この記事は、ふたつの雇用の違いから日本型雇用の欠点と課題をご紹介します。

【業務量・業務効率】対面の方が早い仕事は出社する

業務の効率化を図るためには、テレワークにこだわり過ぎず、対面の方が早い仕事は出社する判断を迅速に行うことが大切です。
特に重要な契約や交渉などは、効率を重視したオンラインよりも直接対面した方がより信頼を獲得できます。
 
 

テレワークの主なメリット:DX化・働き方改革としての価値が大きい

テレワークにはデメリットもありますが、メリットも決して小さくありません。
 
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ペーパーレス化などDX化のきっかけになる

テレワークでは紙を扱う仕事が難しいため、おのずとペーパーレス化やクラウド化が進み、社内のDX化(デジタルトランスフォーメーション)のきっかけになります。コスト削減や素早い情報共有が期待できるでしょう。
 
 

ワークライフバランスの改善につながる

テレワークでは、自分の好きな場所や時間で仕事をすることが可能。通勤時間が削減できることで、ワークライフバランスを改善することができます。
社員もプライベートの時間が確保しやすくなり、生産性の向上や離職率を低下させることができます。
 
 

人材採用のアピールポイントになる

仕事の場所や時間に制約されないテレワークは人材採用のアピールポイントになります。毎日出社する必要がないため、会社近くに住む必要がなくなり、業務形態によっては地方、海外も人材募集の対象地域となりえるでしょう。
 
 

緊急時の事業継続性

コロナ禍によって広まったように、テレワークは緊急時にも事業が継続できる働き方です。たとえ新たな感染症が流行したり、自然災害が起こったとしても、業務の停止を最小限に抑えることができます。
 
 

デメリットがあってもなおテレワークを行う価値はある?

テレワークには社員と企業、双方にメリットとデメリットがあります。しかし、テレワークと出社を組み合わせたハイブリットワークにすることで、そのデメリットを解消することは充分可能です。
社員にとっても、「週に1日か2日だけ出社すればいい」という勤務形態は魅力的。企業側は社員がいつ出社するかを把握する必要がありますが、それでもテレワークを行う価値は充分あるといえるでしょう。
 
 

【参考】テレワークやDX化、働き方改革と親和性が高いICTツールの例は?

テレワークやDX化、働き方改革を行うためには、ICTツールの活用が欠かせません。
 

おすすめのひとつがチャットワーク。直感的に操作でき、チャットはもちろん、ビデオ通話、音声通話にも対応。タスク管理機能もあるので、「自分が何日までに何をやるのか」を可視化することができます。

Qiita Teamは社内Wikiを作ることができるツール。資料を簡単に共有できるので、いちいち他の社員に質問する手間を省くことが可能。また、日報の作成なども可能です。

社内のコミュニケーションツールについては以下の記事で詳しく解説しています。
【2022年版】社内コミュニケーションツールおすすめ11選|メリット/導入のポイントも -

【2022年版】社内コミュニケーションツールおすすめ11選|メリット/導入のポイントも -

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在宅ワークが一般化している現在では、「社内コミュニケーションツール」の導入が欠かせません。社内コミュニケーションツールの活用で、意思疎通や情報共有の円滑化が可能。本記事では、社内コミュニケーションツールのおすすめ11選とメリットをご紹介します。

テレワークのメリット・デメリットなどについてよくある質問

テレワークのメリットとデメリットについて、よくある質問と答えをまとめました。
 
 

テレワークでは社員が「サボる」のでは?

テレワーク中に社員が「サボるのではないか」というのは企業のよくある懸念のひとつ。それを見抜くためには、パソコンの操作ログを取得できるツールや勤怠管理システムの監視機能の活用をおすすめします。
 
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社員側から見れば一見窮屈のようにも見えますが、ログなどを会社が監視してくれれば「サボリ」という汚名を着せられる可能性がなくなるという考え方もあります。

なお、詳しくは以下の記事で解説しています。
【完全ガイド】テレワークでの社員のサボりはどう見抜く?サボりの実態や生産性の高め方 -

【完全ガイド】テレワークでの社員のサボりはどう見抜く?サボりの実態や生産性の高め方 -

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テレワークは新型コロナウイルスの影響で急速に普及しましたが、管理者としては社員の働きぶりが見えにくくなり、サボりが発生していないか不安になることもあるでしょう。では、テレワークでのサボりはどうやって見抜くことができるのでしょうか?この記事では、テレワークでのサボりの実態や原因、見抜く方法、防止する方法、生産性を高める方法などを詳しく解説します。

テレワークでは社員の結束力が弱まるのでは?

テレワークでは、社員同士のコミュニケーションや協力・協調が減る可能性がありますが、それを補う方法もあります。
たとえば少人数のチームでワーケーションを行い、テレワーク時にはどういった形で仕事を進めていくかを共有すれば、テレワーク時の実務のレクチャーだけでなく、業務遂行の成功体験にも繋がるでしょう。
ワーケーションの先人から学ぶ「アフターコロナで出社回帰する企業は”勿体ない”」理由 -

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コロナ禍で一気に増えた企業のテレワークやワーケーション。アフターコロナとなったいま、企業のテレワークの見直しの分岐点となっています。コロナ後のテレワーク、ワーケーションのあり方について、ワーケーションの先人から話を聞きました。

まとめ

コロナ禍で急にテレワークを取り入れた企業ほど、アフターコロナになってテレワークのデメリットが目立つようになり、やめるというケースが増えています。
しかし、紹介してきたようにテレワークにはデメリットだけでなく、社員のライフワークバランスが取れる、業務が効率化されるといったメリットが多くあります。テレワークでもスムーズに仕事ができるツールを取り入れ、テレワークをうまく活用しながら有益な働き方を探りましょう。