ワーケーションには、生産性の向上やリフレッシュ効果など、多くのメリットがあります。また、地方の観光振興や雇用創出にもつながる可能性があります。
ワーケーションを導入する際には、企業のニーズや従業員の希望を踏まえて、最適なプログラムを設計することが重要です。また、セキュリティや労務管理などの課題にも注意する必要があります。
ワーケーションとは:ワーク×バケーション
在宅勤務は、文字通り自宅での勤務。さらに「テレワーク」は自宅近くのカフェやコワーキングスペースなどの日常的な場所で仕事をすることを指し、仕事の効率や柔軟性を高めることを目的としています。一方、「ワーケーション」の目的は、仕事と休暇を両立させること。場所も問われず、旅行先やリゾート地などの観光地、帰省先などで仕事ができます。
一般的には観光地で働きながら旅行をする”休暇型”のワーケーションのイメージが強いですが、近年はサテライトオフィスでのワーケーションや合宿型のワーケーションなど業務に密接に絡む取り組みも増えています。ワーケーションのタイプ、種類は後半でより詳しく解説します。
ワーケーションが注目されている背景
とはいえテレワークは「在宅勤務」や「会社指定のサテライトオフィスでの勤務」が一般的。一方、時間や場所にとらわれない働き方として脚光を浴びたのがワーケーションです。コアタイムなしのフレックスやテレワークよりもさらに自由度が高く、他の働き方で言えば「ウルトラワーク」に近しいスタイルとも言えるでしょう。
ワーケーションの受け入れに積極的な地域の例
北海道千歳市
仕事がはかどらないときには店内の本を読むのもおすすめ。地元の人も集まり、イベントも行われるスペースのため、交流も楽しめます。
サイト内にはエリア別にワークスペースも多々紹介されている上、ワーケーションを楽しみたい方に向け、コンシェルジュが案内してくれるというサービスもあります。
「空港の町」北海道千歳市のテレワーク事情とおすすめスポット | コクヨ社員が語る -
北海道千歳市は「新千歳空港」が存在することから、北海道の空の港。国内線を利用して北海道でワーケーションをする際には、発着地点として利用する方が多いスポットで、実はテレワークスポットとしても魅力にあふれています。
群馬県みなかみ町
代表的なスポットが「さなざわ㞢テラス」。ワーケーションにぴったりな温泉入り放題の「温泉ワークプラン」があり、雄大な自然を前に自分のペースで仕事をすることができます。
引用元: さなざわ㞢テラス公式サイト
群馬県みなかみ町については以下の記事でご紹介しているのでぜひご覧ください。
東京から直通!群馬/新潟の厳選テレワークスポットをコクヨが紹介 - テレワーク事例も -
テレワーク/在宅勤務の広がりを受け、東京都内から「新幹線で移動できる地域」の自治体などが在宅ワーカーや、ワーケーションで働くテレワーカーの受け入れに乗り出しています。
石川県金沢市
たとえば金沢市では、企業のワーケーションに対し、補助金を支給。宿泊料金及びコワーキングスペースの利用料金の1/2(ただし宿泊1泊につき5千円を超えないもの)に相当する額が補助されます。
石川/金沢のワーケーション支援&起業支援制度とおすすめテレワークスポット | 金沢移住経験者が語る -
新型コロナの感染拡大を受けて急激に普及した「テレワーク」は、2023年現在、多くの企業で働き方として定着。働き手にとってはテレワークを前提としたワーケーションや地方移住など、働き方の幅が広がりました。今回は特にワーケーション促進に注力し、なおかつテレワーカーらを対象とした各種支援が充実している地方都市として「石川県金沢市」をご紹介します。単発のワーケーションで金沢を楽しむのはもちろん、現地のことを気に入れば、スピーディーに起業支援や移住支援を受けられる環境が整っています。
国内におけるワーケーションの認知の状況
「ワーケーション」は国内で徐々に認知されつつある一方で、実際に行った人は少なくないというのが現状のようです。
参考:PR TIMES
ワーケーションのタイプ、種類とそれぞれの定義
休暇型は、休暇が主体。リゾートや観光地などで余暇を楽しみつつ、空き時間を活用してテレワークを行うスタイルで、企業ではなく個人単位で実施されることが多くあります。費用は個人負担が多い一方、企業が有給休暇の取得推進などの福利厚生を目的とする場合もあり、その場合は福利厚生型とも呼ばれます。
企業・社員・自治体におけるワーケーションのメリット
それぞれの主なメリットは、企業側は社員の満足度の向上や、イノベーションの創出、社員側はリフレッシュ効果や、働き方の選択肢が広がること。自治体側には地域創生や活性化などがあります。
企業側のメリット
さらに、ワーケーション制度は、採用面でも魅力的な要素となります。ワーケーションにより、従業員の有給休暇取得率を向上させるだけでなく、休暇を取得しながらも仕事を続けることができるため、長期休暇を取りやすくなることが期待できます。有給休暇取得率が高いと社外へのアピールにもなり、企業イメージの向上にもつながります。
社員のメリット
また、社員の働き方の多様化につながることもワーケーションの大きなメリット。自分に合った場所や時間で仕事をすることができるため、働き方の自由度が高まります。
自治体のメリット
また、ワーケーションでは地元企業とワーケーション利用者との交流もあります。これらは、地域の関連事業の活性化や雇用の創出、そして自治体のイノベーション創出につながり、地方の課題解決や新価値創造に貢献する可能性があります。
ワーケーションのデメリット
一方で「休暇型」のワーケーションの場合、ワーケーションはあくまでその社員個人が楽しむものとなりがちで、会社としてその取り組みをバックアップする理由付けが意外と難しいものです。
総じて「取り組む内容」の工夫が必要で、ワーケーションの合宿費用なども含めて、コストがかかりやすい面はあります。
ワーケーションの導入や促進に必要なこと
ワーケーションの目的を言語化する
これまでワーケーションに取り組んでいない企業が、いきなり「福利厚生」や「地域密着」のワーケーションをはじめても社員間に理解が浸透しづらい面もあるでしょう。そのため現実的には「社員研修」などの小さな単位から始めるのがやりやすいでしょう。
まずは近場でのワーケーションに取り組むのも手
まずは「近場」かつ「日帰り」で研修を兼ねたワーケーションを行うのでも十分です。近場の研修施設を1日借りて、そこで様々なレクリエーションをしたり、専門家を呼んで講演をしてもらうといった取り組みも「小さな単位のワーケーション」です。 ワーケーションの導入をするからといって、いきなり大掛かりな「旅行」から考え始める必要はありません。
「社員個人でのワーケーション」にこだわらない
そのためワーケーションとは「社員個人が地方で、テレワークで観光しながら仕事をすること」というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。この理解は誤りではありませんが、ワーケーションの中でもかなり「福利厚生寄り」のものであり、ワーケーションの一つの側面に過ぎません。
業務型のワーケーションはむしろ「合宿」や「研修」に近しく、より実務的です。「ワーケーションって遊びや観光と何が違うの?それってやる必要がある?」と考えている場合、特に社員個人のワーケーションを取り入れる必要は無いでしょう。
その分、是非「合宿」や「研修」のワーケーションを取り入れられないか、検討してみてください。
まとめ
取り入れるハードルが高い、もしくは必要性がないと考えている企業もまだまだ多いのが現実ですが、ワークライフスタイルの多様化に適応し、ワーケーションを取り入れることで、従業員の満足度向上と地方創生への貢献に繋がり、企業としての価値も向上していくでしょう。